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033. 獣人
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「出来た!
完成じゃ!」
家に戻った老婆は、薬草摘みの疲れも忘れ、採って来た隠蔽茸を使い、薬の調合に取りかかった。
やがて完成した十粒ほどの小さな黒い丸薬を目の前にして、老婆は息を飲んだ。
(間違いはないはずじゃ…
これさえ飲めば…)
老婆は震える手を差し伸ばし、丸薬を一粒つまむと、そのまま口の中に放りこんだ。
「おぉぉ……!
身体が燃えるようじゃ!」
効果はすぐに現れた。
老婆は、身体の中からなにかがわきあがるような感覚を感じ、大きく身震いする。
老婆が作ったものは、魔法の強壮薬だった。
魔法使いも年を取れば、体力と同じようにその魔力も衰える。
老魔法使いのグレースもご多分に漏れず、500歳を越えた頃からその魔力はめっきりと衰えた。
今では、山へ薬草を採りに行っては、それで作った薬を売って生計を立てている。
山への道程も、昔のように箒に乗って一っ飛びというわけにはいかない。
ゆっくりもっくり、重い足を引きずって一歩一歩登って行くのだ。
最近では、スープを煮る時、かまどに火を点ける程度の魔法しか使わないようになっていた。
それが、今のグレースには精一杯のことだったのだ。
そんな中、偶然にみつけた隠蔽茸。
この茸は、周りの色に合わせて変化することから非常にみつけにくく、さらに群生することはめったにない。
その上、魔物の好物であることから生えてもすぐに食べられてしまうことが多く、幻の茸と呼ばれていた。
魔力を持たない人間には何の影響も与えないが、魔力を持つ者に対しては大変な力を発揮する。
そのままでも十分な効果があるが、レシピさえ知っていれば、最強の魔法の強壮薬が作れるのだ。
昔から薬の知識には詳しいグレースだったが、実際に隠蔽茸を見たのは初めてのこと。
当然ながら、魔法の強壮薬を作ったのも初めてで、ましてやそれを飲んだこともなければ飲んだ者を見た事さえなかった。
(す…すごい…!
まるで、血が沸き立つようじゃ。
これが、魔法の強壮薬の効果なのか…!)
グレースは、今までに感じたことのない程の薬の効き目に、胸の高まりを押さえることが出来なかった。
「出来た!
完成じゃ!」
家に戻った老婆は、薬草摘みの疲れも忘れ、採って来た隠蔽茸を使い、薬の調合に取りかかった。
やがて完成した十粒ほどの小さな黒い丸薬を目の前にして、老婆は息を飲んだ。
(間違いはないはずじゃ…
これさえ飲めば…)
老婆は震える手を差し伸ばし、丸薬を一粒つまむと、そのまま口の中に放りこんだ。
「おぉぉ……!
身体が燃えるようじゃ!」
効果はすぐに現れた。
老婆は、身体の中からなにかがわきあがるような感覚を感じ、大きく身震いする。
老婆が作ったものは、魔法の強壮薬だった。
魔法使いも年を取れば、体力と同じようにその魔力も衰える。
老魔法使いのグレースもご多分に漏れず、500歳を越えた頃からその魔力はめっきりと衰えた。
今では、山へ薬草を採りに行っては、それで作った薬を売って生計を立てている。
山への道程も、昔のように箒に乗って一っ飛びというわけにはいかない。
ゆっくりもっくり、重い足を引きずって一歩一歩登って行くのだ。
最近では、スープを煮る時、かまどに火を点ける程度の魔法しか使わないようになっていた。
それが、今のグレースには精一杯のことだったのだ。
そんな中、偶然にみつけた隠蔽茸。
この茸は、周りの色に合わせて変化することから非常にみつけにくく、さらに群生することはめったにない。
その上、魔物の好物であることから生えてもすぐに食べられてしまうことが多く、幻の茸と呼ばれていた。
魔力を持たない人間には何の影響も与えないが、魔力を持つ者に対しては大変な力を発揮する。
そのままでも十分な効果があるが、レシピさえ知っていれば、最強の魔法の強壮薬が作れるのだ。
昔から薬の知識には詳しいグレースだったが、実際に隠蔽茸を見たのは初めてのこと。
当然ながら、魔法の強壮薬を作ったのも初めてで、ましてやそれを飲んだこともなければ飲んだ者を見た事さえなかった。
(す…すごい…!
まるで、血が沸き立つようじゃ。
これが、魔法の強壮薬の効果なのか…!)
グレースは、今までに感じたことのない程の薬の効き目に、胸の高まりを押さえることが出来なかった。
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