Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

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048. 追走劇

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「ちょっと大変だけど、この山を越えれば隣の町に着く。
馬車や徒歩で行くのとは違う方向の町だから、そこならきっと安全だ。」

「そうかい。
じゃ、急いで山を越えようよ!」

「それから、この際だから言っとくが、お宝を掘り当てたってあちこちで自慢げに話すんじゃないぞ!
どんなトラブルに巻き込まれるかわからないんだからな!」

「だけど、今回のことはあの宝石を道具屋に売ったから、そこからバレたんだろ?」

「道具屋でべらべらしゃべったのは誰だ!?
あんなこと言うから、噂が広がったんだぞ!」

「そんなことを言うなら、あんたがそんなややこしいお宝の話を持ちこんだからじゃないか!」

「俺だって、あんなおっさんがいるなんて知らなかったんだよ!」

二人の間に険悪なムードが流れる。
二人はしゃべることをやめ、お互いの顔を見ることもせず、ただ黙々と山道を歩いた。



「ずいぶん、暗くなったな、
今夜は、このあたりで休もう。
食料も買う暇なかったから何もないが、今夜一晩の辛抱だ。」

クリントの言葉に、ジェシカは何も言わず荷物を降ろした。



「なんだよ、さっきのこと怒ってんのか?」

クリントの問いかけに、ジェシカはまた何も答えなかった。



「勝手にしろ…」

二人は一本の木を挟んで、その場に横になった。



***



「サンダー、起きろ。そろそろでかけるぞ!」

クリントに起こされ、ジェシカはゆっくりと身体を起こす。



「夕方には町に着くから、頑張れよ!」

クリントがジェシカの方を見ずにそう言った。



クリントだけが悪いんじゃない事はわかっていながら、どうしても素直になれない。
そんな自分自身に軽い自己嫌悪を感じながら、ジェシカは黙ってクリントの後を着いて行く。



「あぁ、腹が減ったな…
でも、もう町は近いぞ。
それに、下り道だからこれあでよりずっと楽になる。」

「そ…」

ジェシカがその言葉に返事をしようとした時だった。




「まてぇ!やっと見つけたぞ!盗人めが!!」

すぐ近くにあのアーロンが来ているのが見えた。
しかも、長い剣を振りかざしているではないか!

 
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