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ルカ(聖夜月ルカ)

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048. 追走劇

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「クリント!今のうちに!!」

「あ…あぁ…!!」

二人は、町を目指し転がるように斜面を駆けぬけた。
息が切れそうになるのをこらえ、力の限りに駆けぬけた。

やっと街道に出た時、ちょうど通り合わせた乗合馬車に乗りこんだ。
行き先もわからない馬車は街道を走り続ける。
馬車に乗っている間、二人は何も話さなかった。
心身ともに疲れ果て、口を開く気力がなかったのだ。

やがて辿りついたのは、どこかわからない賑やかな町だった。
二人は、宿に着くとぐったりとベッドに倒れこんだ。



「サンダー、足の傷、手当てしないと…」

「あぁ…大丈夫さ、たいしたことない。」

「そんなことないぞ、けっこう血が出てるじゃないか。
痛かっただろ?」

立ちあがろうとするジェシカをおさめ、クリントはジェシカの傷を濡らしたタオルで洗い、手当てをしてくれた。



「ありがとう…」

「歩けるか?何か食べに行くか?
腹、減っただろ?」

「クリント、あのさ…」

「なんだ?足が痛むのか?」

「そうじゃなくて…
あのさ…おっさんに斬られそうになった時、私を助けようとしてくれたじゃないか…」

「それは、俺のせいだからさ。
俺があんな話を持ちかけたから…」

「違うよ!!私が悪かったんだ!
嬉しくてついあちこちでべらべらしゃべったから、それでこんなことに…ごめんよ…」

「あんたのせいじゃないさ。
それより、さっきは大切な宝石を…」

「あんな宝石より、あんたの方が大切だもん!」

「サンダー…」

「勘違いしないでおくれよ!
あんたは、私の最高の相棒だから…あんたがいなくなったらツキがなくなりそうだし…それだけなんだだから!
だから…あんたを失いたくなかっただけなんだ…」

「サンダー…」

クリントは、ジェシカの身体をそっと抱き締めた。



「ありがとう、サンダー。
あんたは俺の大事な相棒だ…」

「クリント…」

伝えられなかった本当の気持ちが、ジェシカの瞳から涙の粒に変わって落ちた…
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