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052. ただ欲しいと思っただけ
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「それで、あんたが探してるその指輪はどういうもんなんだ?」
「魔術士の指輪は、その名の通り、魔術士の能力を高めるものです。
それを身に付けることで、本来なら発動出来ないような強力な魔法を発動したり、使える魔法の回数を増やすことが出来たりするものです。
当然ながら、あらかじめその魔術を勉強しておかねばなりませんが、知識はあっても魔力の乏しい者にとっては夢のようなアイテムなのです。」
「なるほどな。」
「それと、その指輪は一度はめたが最後、その者が死ぬまで指をはずれません。
ですから、めったなことでは町にも出回りませんし、そういう意味でもとても貴重なものなのです。」
「そういうことか、それでその指輪のある場所はわかってるのか?」
「はい、それはわかっています。
魔術士ならほとんどの者が知っていると思います。」
シモンの話によると、その指輪はある有名な魔術士のものだったそうだ。
彼の死後、遺言により彼の息子が隠したらしいのだが、後世の魔術士に試練を与えるため、魔物の巣窟だった山に術をかけたのだという。
その山には、魔術士の指輪のある頂上以外では魔法が使えないと言う術がかけられている。
これは非力な魔術士達にとってはとてつもなく厳しい試練だ。
「そういうことですので、グラッジさんには魔術士に変装していただかなければなりません。
そのための小道具はこちらで用意させていただきますので…」
「なるほど…そんなズルしてまで指輪が欲しいってわけか。
可愛い顔して、悪い奴だな!」
「それは言わないで下さいよ…」
シモンは少し照れたように微笑んだ。
*
「じゃあ、行きましょうか。」
その二日後、グラッジとシモンは山の麓の関所にいた。
この山に入る者は、台帳に名前を書かされる。
これは別名「死者の台帳」と呼ばれているもの。
この山へ入る者…すなわち、この台帳に名を書いたものはほとんどがこの山で命を落としているのだ。
生きて戻ったのは魔物が現れる前に、思いなおして引き返した意気地なしだけなのだとか…
「魔術士の指輪は、その名の通り、魔術士の能力を高めるものです。
それを身に付けることで、本来なら発動出来ないような強力な魔法を発動したり、使える魔法の回数を増やすことが出来たりするものです。
当然ながら、あらかじめその魔術を勉強しておかねばなりませんが、知識はあっても魔力の乏しい者にとっては夢のようなアイテムなのです。」
「なるほどな。」
「それと、その指輪は一度はめたが最後、その者が死ぬまで指をはずれません。
ですから、めったなことでは町にも出回りませんし、そういう意味でもとても貴重なものなのです。」
「そういうことか、それでその指輪のある場所はわかってるのか?」
「はい、それはわかっています。
魔術士ならほとんどの者が知っていると思います。」
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彼の死後、遺言により彼の息子が隠したらしいのだが、後世の魔術士に試練を与えるため、魔物の巣窟だった山に術をかけたのだという。
その山には、魔術士の指輪のある頂上以外では魔法が使えないと言う術がかけられている。
これは非力な魔術士達にとってはとてつもなく厳しい試練だ。
「そういうことですので、グラッジさんには魔術士に変装していただかなければなりません。
そのための小道具はこちらで用意させていただきますので…」
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可愛い顔して、悪い奴だな!」
「それは言わないで下さいよ…」
シモンは少し照れたように微笑んだ。
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「じゃあ、行きましょうか。」
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