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054. 潜む影
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それから、俺達は馬車を乗り換え、二つの町を通り過ぎた。
ランスロットは、その間に何度か、俺の『能力』について質問して来たが、その度に俺は話をはぐらかし、本当のことを話さなかった。
話せる筈がない。
小人のはげを笑ったら、身体がちっちゃくなる呪いをかけられたなんて、かっこ悪すぎる…
「この分なら、夕方には着けますね。」
「そうだな。
早く、ストック爺さんの驚く顔が見てみたいもんだな。」
マザークロスに停まる馬車はないので、俺達は、手前の町から徒歩でマザークロスを目指した。
森の中を抜けて行くと、街道を通るよりも近道なため、行きと同じくそのコースを進んだ。
「それにしても、腹が減ったなぁ…
さっき昼飯を食った所だっていうのに、どうしてこう…」
「ルークさん、こちらへ!!」
俺の言葉を遮って、ランスロットは俺を自分の後ろ側に押しやると、奴は軽い金属音を立てて腰の剣を素早く引き抜いた。
「お、おい、どうしたんだ?
何かいたのか?」
いつもとはまるで別人みたいに鋭い目つきをしたランスロットを見ても、俺は何が起きているのか、まるでわかっていなかった。
あたりを見渡しても、どこにも何も異変は感じられなかったんだから。
「そんな所に隠れていないで、姿を現せ!」
ランスロットがどこにいる誰にそんなことを言ってるのか、俺には見当さえ付く筈もなく、緊迫した空気の中、息を飲んで事の成り行きを見守っていた。
「……たいしたものですね。
私の気配を見抜くとは……」
響きのある澄んだ声と共に、木の影から現れたのは、目を見張るような美しい……人間?
いや、違う!
そいつは、人間とはほんの少し違う。
背の高いランスロットよりもさらに高く、陶器の人形みたいな白い肌にその輪郭を囲むように流れる絹糸みたいな金色の髪…
そこから、ちらりとのぞいた尖っている耳を見て、俺は思わず声を上げていた。
ランスロットは、その間に何度か、俺の『能力』について質問して来たが、その度に俺は話をはぐらかし、本当のことを話さなかった。
話せる筈がない。
小人のはげを笑ったら、身体がちっちゃくなる呪いをかけられたなんて、かっこ悪すぎる…
「この分なら、夕方には着けますね。」
「そうだな。
早く、ストック爺さんの驚く顔が見てみたいもんだな。」
マザークロスに停まる馬車はないので、俺達は、手前の町から徒歩でマザークロスを目指した。
森の中を抜けて行くと、街道を通るよりも近道なため、行きと同じくそのコースを進んだ。
「それにしても、腹が減ったなぁ…
さっき昼飯を食った所だっていうのに、どうしてこう…」
「ルークさん、こちらへ!!」
俺の言葉を遮って、ランスロットは俺を自分の後ろ側に押しやると、奴は軽い金属音を立てて腰の剣を素早く引き抜いた。
「お、おい、どうしたんだ?
何かいたのか?」
いつもとはまるで別人みたいに鋭い目つきをしたランスロットを見ても、俺は何が起きているのか、まるでわかっていなかった。
あたりを見渡しても、どこにも何も異変は感じられなかったんだから。
「そんな所に隠れていないで、姿を現せ!」
ランスロットがどこにいる誰にそんなことを言ってるのか、俺には見当さえ付く筈もなく、緊迫した空気の中、息を飲んで事の成り行きを見守っていた。
「……たいしたものですね。
私の気配を見抜くとは……」
響きのある澄んだ声と共に、木の影から現れたのは、目を見張るような美しい……人間?
いや、違う!
そいつは、人間とはほんの少し違う。
背の高いランスロットよりもさらに高く、陶器の人形みたいな白い肌にその輪郭を囲むように流れる絹糸みたいな金色の髪…
そこから、ちらりとのぞいた尖っている耳を見て、俺は思わず声を上げていた。
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