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056. 春雷
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「あぁ、私はさっき飲んできたから、そいつは婆さんにあげるよ。」
「ありがとうよ。」
老婆は、バーボンの小瓶をぐいっとあおる。
「う~ん、身体を温めるにはこれが一番だね!」
「そうだね。」
ジェシカは老婆に微笑み返した。
しばらくすると、老婆がおかしなことを言い始めた。
「南じゃ…」
「え?何が?」
「あんたの探しとるもんは南にある。」
「私…東の町に行くつもりなんだけど…」
「いいや!南じゃ!
南の町…雷…そうじゃ!
雷じゃ!」
「雷??」
そう言うと、老婆はそのままテーブルに突っ伏して眠り始めた。
「あ~あ、婆さん、そんなとこで寝ちまって…」
ジェシカは老婆を長椅子に寝かせ、その上から毛布をかけた。
*
次の朝、ジェシカが目覚めると老婆はもう部屋にはいなかった。
なんでも、夜明け前に出て行ったという。
(おかしな婆さんだったなぁ…)
テーブルの上に置かれたバーボンの小瓶を見た時、何かを思い出しそうな気がしたが、結局はそれが何なのかわからなかった。
軽い朝食を採った後、ジェシカは宿を発った。
町を出ようとした時にふと昨夜の婆さんの言葉が頭をかすめた。
「南じゃ…!!」
(……南の町にお宝の噂なんて聞いたことがない。
やっぱり、予定通り、あの町に行こう!)
そう考えて歩き出したのだが、やはりどうも気にかかる。
(ま、いいか。少しくらい回り道しても…)
ジェシカはひき返し、南へ向かって歩き出した。
しかし、南と言われてもどこへ行けば良いというのか?
具体的な目的地はまるでわからない。
あんないんちき婆さんの言うことを真に受けるなんて、馬鹿馬鹿しい話だ…
やっぱり東の町にいくべきではないだろうか?
悩みながらも、ジェシカはそのまま南に歩き続けていた。
隣町へは思ったよりも遠く、辿りついたのはもう夕暮れ時だった。
早速、ジェシカは宿に入り、食事をしながらこのあたりの町のことを聞いてみた。
「ありがとうよ。」
老婆は、バーボンの小瓶をぐいっとあおる。
「う~ん、身体を温めるにはこれが一番だね!」
「そうだね。」
ジェシカは老婆に微笑み返した。
しばらくすると、老婆がおかしなことを言い始めた。
「南じゃ…」
「え?何が?」
「あんたの探しとるもんは南にある。」
「私…東の町に行くつもりなんだけど…」
「いいや!南じゃ!
南の町…雷…そうじゃ!
雷じゃ!」
「雷??」
そう言うと、老婆はそのままテーブルに突っ伏して眠り始めた。
「あ~あ、婆さん、そんなとこで寝ちまって…」
ジェシカは老婆を長椅子に寝かせ、その上から毛布をかけた。
*
次の朝、ジェシカが目覚めると老婆はもう部屋にはいなかった。
なんでも、夜明け前に出て行ったという。
(おかしな婆さんだったなぁ…)
テーブルの上に置かれたバーボンの小瓶を見た時、何かを思い出しそうな気がしたが、結局はそれが何なのかわからなかった。
軽い朝食を採った後、ジェシカは宿を発った。
町を出ようとした時にふと昨夜の婆さんの言葉が頭をかすめた。
「南じゃ…!!」
(……南の町にお宝の噂なんて聞いたことがない。
やっぱり、予定通り、あの町に行こう!)
そう考えて歩き出したのだが、やはりどうも気にかかる。
(ま、いいか。少しくらい回り道しても…)
ジェシカはひき返し、南へ向かって歩き出した。
しかし、南と言われてもどこへ行けば良いというのか?
具体的な目的地はまるでわからない。
あんないんちき婆さんの言うことを真に受けるなんて、馬鹿馬鹿しい話だ…
やっぱり東の町にいくべきではないだろうか?
悩みながらも、ジェシカはそのまま南に歩き続けていた。
隣町へは思ったよりも遠く、辿りついたのはもう夕暮れ時だった。
早速、ジェシカは宿に入り、食事をしながらこのあたりの町のことを聞いてみた。
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