385 / 697
056. 春雷
5
しおりを挟む
「あぁ、私はさっき飲んできたから、そいつは婆さんにあげるよ。」
「ありがとうよ。」
老婆は、バーボンの小瓶をぐいっとあおる。
「う~ん、身体を温めるにはこれが一番だね!」
「そうだね。」
ジェシカは老婆に微笑み返した。
しばらくすると、老婆がおかしなことを言い始めた。
「南じゃ…」
「え?何が?」
「あんたの探しとるもんは南にある。」
「私…東の町に行くつもりなんだけど…」
「いいや!南じゃ!
南の町…雷…そうじゃ!
雷じゃ!」
「雷??」
そう言うと、老婆はそのままテーブルに突っ伏して眠り始めた。
「あ~あ、婆さん、そんなとこで寝ちまって…」
ジェシカは老婆を長椅子に寝かせ、その上から毛布をかけた。
*
次の朝、ジェシカが目覚めると老婆はもう部屋にはいなかった。
なんでも、夜明け前に出て行ったという。
(おかしな婆さんだったなぁ…)
テーブルの上に置かれたバーボンの小瓶を見た時、何かを思い出しそうな気がしたが、結局はそれが何なのかわからなかった。
軽い朝食を採った後、ジェシカは宿を発った。
町を出ようとした時にふと昨夜の婆さんの言葉が頭をかすめた。
「南じゃ…!!」
(……南の町にお宝の噂なんて聞いたことがない。
やっぱり、予定通り、あの町に行こう!)
そう考えて歩き出したのだが、やはりどうも気にかかる。
(ま、いいか。少しくらい回り道しても…)
ジェシカはひき返し、南へ向かって歩き出した。
しかし、南と言われてもどこへ行けば良いというのか?
具体的な目的地はまるでわからない。
あんないんちき婆さんの言うことを真に受けるなんて、馬鹿馬鹿しい話だ…
やっぱり東の町にいくべきではないだろうか?
悩みながらも、ジェシカはそのまま南に歩き続けていた。
隣町へは思ったよりも遠く、辿りついたのはもう夕暮れ時だった。
早速、ジェシカは宿に入り、食事をしながらこのあたりの町のことを聞いてみた。
「ありがとうよ。」
老婆は、バーボンの小瓶をぐいっとあおる。
「う~ん、身体を温めるにはこれが一番だね!」
「そうだね。」
ジェシカは老婆に微笑み返した。
しばらくすると、老婆がおかしなことを言い始めた。
「南じゃ…」
「え?何が?」
「あんたの探しとるもんは南にある。」
「私…東の町に行くつもりなんだけど…」
「いいや!南じゃ!
南の町…雷…そうじゃ!
雷じゃ!」
「雷??」
そう言うと、老婆はそのままテーブルに突っ伏して眠り始めた。
「あ~あ、婆さん、そんなとこで寝ちまって…」
ジェシカは老婆を長椅子に寝かせ、その上から毛布をかけた。
*
次の朝、ジェシカが目覚めると老婆はもう部屋にはいなかった。
なんでも、夜明け前に出て行ったという。
(おかしな婆さんだったなぁ…)
テーブルの上に置かれたバーボンの小瓶を見た時、何かを思い出しそうな気がしたが、結局はそれが何なのかわからなかった。
軽い朝食を採った後、ジェシカは宿を発った。
町を出ようとした時にふと昨夜の婆さんの言葉が頭をかすめた。
「南じゃ…!!」
(……南の町にお宝の噂なんて聞いたことがない。
やっぱり、予定通り、あの町に行こう!)
そう考えて歩き出したのだが、やはりどうも気にかかる。
(ま、いいか。少しくらい回り道しても…)
ジェシカはひき返し、南へ向かって歩き出した。
しかし、南と言われてもどこへ行けば良いというのか?
具体的な目的地はまるでわからない。
あんないんちき婆さんの言うことを真に受けるなんて、馬鹿馬鹿しい話だ…
やっぱり東の町にいくべきではないだろうか?
悩みながらも、ジェシカはそのまま南に歩き続けていた。
隣町へは思ったよりも遠く、辿りついたのはもう夕暮れ時だった。
早速、ジェシカは宿に入り、食事をしながらこのあたりの町のことを聞いてみた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
不倫妻への鎮魂歌 ―サレ夫が選んだ、最も残酷で静かな復讐―
MisakiNonagase
大衆娯楽
「サレ夫、再生。不倫妻、転落。──その代償は、あまりに重い。」
「嘘で塗り固めた20年より、真実で歩む明日がいい。」
失って初めて気づく、守られていた日々の輝き。
46歳の美香にとって、誠実な夫と二人の息子に囲まれた生活は、退屈で窮屈な「檻」だった。若い男からの甘い誘惑に、彼女は20年の歳月を投げ打って飛び込んだ。 しかし、彼女が捨てたのは「檻」ではなく「聖域」だったのだ。 不倫、発覚、離婚、そして孤独。 かつての「美しい奥様」が、厚化粧で場末のスナックのカウンターに立つまでの足取りと、傷つきながらも真実の幸福を掴み取っていく夫・徹の再生を描く。 家族とは何か、誠実さとは何か。一通の離婚届が、二人の人生を光と影に分かつ。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる