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057. 陽炎
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「ねぇねぇ…じゃあ、もしかして、トカゲの国に戻った時に、あんたが本当はトカゲ族だってことを信じてもらえないことを心配してるの?」
「トカゲの国…?
そんなのただの伝説だろ?」
「えっ!あんた、トカゲの国から来たんじゃないの?」
「違うよ…僕は……
そんなことより、本当の話なのかい?
トカゲの国なんて本当にあるのかい?」
「ええ、長老様が話してたのを聞いたことがあるから間違いないわ。」
「どこ?それはどこにあるの!?」
つい身を乗り出した僕から、妖精はさっと身を引いた。
「残念だけどそこまでは知らないわ。
長老様なら、多種族の国のことも詳しいんだけど…」
「じゃあ、聞いてきて!
そうだ!…僕の口止め料はそれで良いよ。
長老様とやらにトカゲの国の場所を聞いて来てよ!」
妖精は俯き、悲しそうな顔をしてゆっくりと首を振った。
「それが…だめなの。
あたし、ついさっき妖精の村を追い出されたばっかりだから。
あたしのちょっとした失敗のせいで長老様を怒らせてしまって、百年の追放処分を受けたばかりなの…」
「そんな……」
「大丈夫よ!
あたし、こういうことには慣れてるから!
追放処分も実は初めてじゃないんだぁ~!」
妖精は、片目をつぶり、にっこりと微笑んだ。
僕の落胆を、彼女のことを心配してると誤解したようだ。
「ねぇねぇ、じゃあ、百年待ってくれる?
待ってくれたら、あたし、長老様に聞いてくるよ!」
「百年かぁ…」
以前出会った老人から、トカゲ族の寿命は人間よりずっと長く、獅子や狼族よりもさらに長いと聞いた。
でも、それがどのくらいなのかはわからない。
それに、寿命は長くとも、怪我や病気や事故にあえば、明日にだって命を落とす事はある。
「……それじゃあ、僕と一緒にトカゲの国を探してくれる?」
「えっ!?」
それは突然の思い付きだった。
ずっと伝説だと思いこんでいたトカゲの国が本当にあるかもしれないと思ったら、無性にそこに行ってみたくなってしまってた。
いつも積極的に動く事のない僕にとって、それは僕自身も少し驚いてしまうような気持ちの変化だった。
妖精は、僕の願い事に迷っているのか、空を飛び回っては腕を組んで立ち止まり、またぱたぱたと飛び回ることを何度か繰り返していた。
「トカゲの国…?
そんなのただの伝説だろ?」
「えっ!あんた、トカゲの国から来たんじゃないの?」
「違うよ…僕は……
そんなことより、本当の話なのかい?
トカゲの国なんて本当にあるのかい?」
「ええ、長老様が話してたのを聞いたことがあるから間違いないわ。」
「どこ?それはどこにあるの!?」
つい身を乗り出した僕から、妖精はさっと身を引いた。
「残念だけどそこまでは知らないわ。
長老様なら、多種族の国のことも詳しいんだけど…」
「じゃあ、聞いてきて!
そうだ!…僕の口止め料はそれで良いよ。
長老様とやらにトカゲの国の場所を聞いて来てよ!」
妖精は俯き、悲しそうな顔をしてゆっくりと首を振った。
「それが…だめなの。
あたし、ついさっき妖精の村を追い出されたばっかりだから。
あたしのちょっとした失敗のせいで長老様を怒らせてしまって、百年の追放処分を受けたばかりなの…」
「そんな……」
「大丈夫よ!
あたし、こういうことには慣れてるから!
追放処分も実は初めてじゃないんだぁ~!」
妖精は、片目をつぶり、にっこりと微笑んだ。
僕の落胆を、彼女のことを心配してると誤解したようだ。
「ねぇねぇ、じゃあ、百年待ってくれる?
待ってくれたら、あたし、長老様に聞いてくるよ!」
「百年かぁ…」
以前出会った老人から、トカゲ族の寿命は人間よりずっと長く、獅子や狼族よりもさらに長いと聞いた。
でも、それがどのくらいなのかはわからない。
それに、寿命は長くとも、怪我や病気や事故にあえば、明日にだって命を落とす事はある。
「……それじゃあ、僕と一緒にトカゲの国を探してくれる?」
「えっ!?」
それは突然の思い付きだった。
ずっと伝説だと思いこんでいたトカゲの国が本当にあるかもしれないと思ったら、無性にそこに行ってみたくなってしまってた。
いつも積極的に動く事のない僕にとって、それは僕自身も少し驚いてしまうような気持ちの変化だった。
妖精は、僕の願い事に迷っているのか、空を飛び回っては腕を組んで立ち止まり、またぱたぱたと飛び回ることを何度か繰り返していた。
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