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059. 明けの明星
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「あ……」
あれからどのくらいの時が経ったのかわからない。
すべては夢だったのかとも思ったが、傍らに転がる母の亡骸を見て、夢ではなかったことにアシュリーは気付かされた。
しかし、不思議な事に自分は死んではいなかった。
なぜ助かったのかはわからなかったが、アシュリーは死んではいなかったのだ。
アシュリーは立ちあがった。
身体のどこかがなにか違うという得体の知れない違和感を感じながら…
アシュリーは、歩き出した。
後ろも振り向かず、ただひたすらにあてどなく何日も歩き、やがて小さな町にたどり着いた。
「なんだ、ぼうず、一人か?
どっから来たんだ?」
「………」
「どうした?口が利けないのか?
お前、名前は?」
「……ア……ア……アズラエル」
「そうか、アズラエルか。
アズラエル、とりあえず、うちに来い。」
本名を言うと、またあの悪魔にみつかってしまうのではないかとの不安を感じ、アシュリーは不意に嘘を吐いてしまっていた。
それからしばらくの間、アズラエルは親切なその男の所で世話になった。
やがて、アズラエルが18になった時、男の家を離れた。
ルシファーの手掛かりを探しながら町から町を渡り歩いたが、たいした情報もみつからないまま長い歳月が過ぎた。
そのうち、アズラエルは自分におかしな能力が芽生えていることに気がついた。
それだけではない。
自分がまるで年を取らない事にも…
いつしか、まわりから彼は「悪魔」と呼ばれるようになっていた。
(そう呼びたければ、そう呼べば良いさ…)
*
オレンジ色の太陽が少しずつ姿を現し、白々と夜が明けてきた。
「……なんだ、また眠ったのか…?」
ビロードのようになめらかな黒猫の身体を撫でながら、アズラエルは低い声で歌を歌う…
優しい母の子守唄を…
あれからどのくらいの時が経ったのかわからない。
すべては夢だったのかとも思ったが、傍らに転がる母の亡骸を見て、夢ではなかったことにアシュリーは気付かされた。
しかし、不思議な事に自分は死んではいなかった。
なぜ助かったのかはわからなかったが、アシュリーは死んではいなかったのだ。
アシュリーは立ちあがった。
身体のどこかがなにか違うという得体の知れない違和感を感じながら…
アシュリーは、歩き出した。
後ろも振り向かず、ただひたすらにあてどなく何日も歩き、やがて小さな町にたどり着いた。
「なんだ、ぼうず、一人か?
どっから来たんだ?」
「………」
「どうした?口が利けないのか?
お前、名前は?」
「……ア……ア……アズラエル」
「そうか、アズラエルか。
アズラエル、とりあえず、うちに来い。」
本名を言うと、またあの悪魔にみつかってしまうのではないかとの不安を感じ、アシュリーは不意に嘘を吐いてしまっていた。
それからしばらくの間、アズラエルは親切なその男の所で世話になった。
やがて、アズラエルが18になった時、男の家を離れた。
ルシファーの手掛かりを探しながら町から町を渡り歩いたが、たいした情報もみつからないまま長い歳月が過ぎた。
そのうち、アズラエルは自分におかしな能力が芽生えていることに気がついた。
それだけではない。
自分がまるで年を取らない事にも…
いつしか、まわりから彼は「悪魔」と呼ばれるようになっていた。
(そう呼びたければ、そう呼べば良いさ…)
*
オレンジ色の太陽が少しずつ姿を現し、白々と夜が明けてきた。
「……なんだ、また眠ったのか…?」
ビロードのようになめらかな黒猫の身体を撫でながら、アズラエルは低い声で歌を歌う…
優しい母の子守唄を…
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