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064. 水に没む
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(う、嘘だ……)
去って行くメアリの後ろ姿を見送りながら、俺は身動き一つ出来ないでいた。
その晩、俺は、眠れないままに朝を迎えた。
朝が来るまで、天井をみつめながら、俺はずっと考えていた。
一体、なぜ、こんなことになったのか…と。
俺の横で眠る女が寝返りを打った時、俺ははたとその原因に思い当たった。
(そうだ!
メアリは妬いてるんだ!)
俺は、女が目覚めると別れ話を切り出し、そのまま家を出た。
背中に聞こえる女の罵声も少しも気にはならなかった。
俺はその足で、メアリを訪ね、女と別れたことを告げた。
これで、彼女は俺を受け入れる…
俺はそう信じていたのだが、彼女の言葉はその期待を裏切った。
定職にも付かずに毎日遊んでるような人を好きになれる筈がない…と。
そう言うと、彼女は乱暴に扉を閉め、その扉の向こうから「二度と私の前には現れないで!」と言ったのを最後に、俺がどれだけノックしようと叫ぼうと、扉を開けてくれることはなかった。
俺は、その扉が開くことに僅かな望みをかけて、ずっと立ち尽し…
たまたま通りがかった知り合いに声をかけられ、ふと気が付くと、あたりは暗くなっていた。
そんな無様な姿を知り合いに見られた恥ずかしさと悲しさと…なんとも言えないざわついた気持ちを胸に、俺はそのまま走り出した。
走って、走って、一晩中、闇の中を走り続け、いつの間にか街道の脇で眠ってた。
酒も飲まずに、あんなにおかしな行動をしたのはあの日が初めてのことだった。
それから、俺は五つの町を通り過ぎた。
食べる事と眠る場所はその日の運次第。
酒場で知り合った酔っ払いにおごってもらったり、町で声をかけた女に泊まらせてもらったりしながらこの一ヶ月を過してきたが、いまだに俺の心は少しも癒されない。
メアリのこと…あの日の記憶は少しも色褪せない。
(……俺…もう疲れたよ……)
ここ数日は、気持ちがイライラしておさまらなかった。
急に悲しさで押し潰されそうになったり、自分の感情がコントロール出来ない。
俺は、相当、神経をやられてしまってるようだ。
(もうダメかもしれないな…)
ふと、そんな想いが頭をよぎり、地面の上に小さな雫が毀れた。
去って行くメアリの後ろ姿を見送りながら、俺は身動き一つ出来ないでいた。
その晩、俺は、眠れないままに朝を迎えた。
朝が来るまで、天井をみつめながら、俺はずっと考えていた。
一体、なぜ、こんなことになったのか…と。
俺の横で眠る女が寝返りを打った時、俺ははたとその原因に思い当たった。
(そうだ!
メアリは妬いてるんだ!)
俺は、女が目覚めると別れ話を切り出し、そのまま家を出た。
背中に聞こえる女の罵声も少しも気にはならなかった。
俺はその足で、メアリを訪ね、女と別れたことを告げた。
これで、彼女は俺を受け入れる…
俺はそう信じていたのだが、彼女の言葉はその期待を裏切った。
定職にも付かずに毎日遊んでるような人を好きになれる筈がない…と。
そう言うと、彼女は乱暴に扉を閉め、その扉の向こうから「二度と私の前には現れないで!」と言ったのを最後に、俺がどれだけノックしようと叫ぼうと、扉を開けてくれることはなかった。
俺は、その扉が開くことに僅かな望みをかけて、ずっと立ち尽し…
たまたま通りがかった知り合いに声をかけられ、ふと気が付くと、あたりは暗くなっていた。
そんな無様な姿を知り合いに見られた恥ずかしさと悲しさと…なんとも言えないざわついた気持ちを胸に、俺はそのまま走り出した。
走って、走って、一晩中、闇の中を走り続け、いつの間にか街道の脇で眠ってた。
酒も飲まずに、あんなにおかしな行動をしたのはあの日が初めてのことだった。
それから、俺は五つの町を通り過ぎた。
食べる事と眠る場所はその日の運次第。
酒場で知り合った酔っ払いにおごってもらったり、町で声をかけた女に泊まらせてもらったりしながらこの一ヶ月を過してきたが、いまだに俺の心は少しも癒されない。
メアリのこと…あの日の記憶は少しも色褪せない。
(……俺…もう疲れたよ……)
ここ数日は、気持ちがイライラしておさまらなかった。
急に悲しさで押し潰されそうになったり、自分の感情がコントロール出来ない。
俺は、相当、神経をやられてしまってるようだ。
(もうダメかもしれないな…)
ふと、そんな想いが頭をよぎり、地面の上に小さな雫が毀れた。
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