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078. 異国の歌
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次の日は、前日の雨のおかげでか、どこまでも澄みきった青い空に眩しい太陽が顔を見せていた。
今日はひさしぶりの休日。
アンナは、休日には午前中のうちに買い物をすませ、午後は家でたまった家事や雑用を済ませることに決めていた。
朝食を済ませたアンナは、早速近くの市場へ向かった。
何を買おうかと市場の中を見て回るアンナの足が突然止まった。
(あ……!!)
アンナは、小走りである男の後ろに駆け寄った。
「あ…あの…!」
その声に降り返ったのは、赤い顔をした背の高い男だった。
「あ…あなたは…」
「やっぱり…!
あの…昨日は、傘、ありがとうございました。
すごい土砂降りだったけど大丈夫でしたか?」
「あ…あぁ、僕なら大丈夫ですよ。」
その言葉とは裏腹に、男が発したのは息苦しそうな細い声だった。
「もしかしたら、あなた…」
アンナは、手を伸ばし男の額に手をあてた。
「やっぱり!すごい熱だわ。
昨日の雨のせいね…私が傘を借りてしまったから…」
「違いますよ。
もともと風邪気味だったんです。」
「こんなに熱があるのに出歩いちゃダメですよ!」
「そう思ったんですが、食べるものがなくて…」
「ご家族はいらっしゃらないんですか?」
「あいにくと僕は一人暮らしなんですよ。」
「まぁ…!
じゃあ、私に食事を作らせて下さい!」
「そんなこと…大丈夫です。
果物を買いましたから…」
「果物だけじゃ、元気になれません!
私のせいなんですから、そのくらいのことさせて下さい!」
アンナの勢いに負け、男性はアンナを自宅へ案内した。
「まぁ、うちからすぐ近くだったんですね!」
アンナは男性をベッドに寝かせると、身体の温まる料理を作り食べさせた。
そのことがきっかけとなり、二人は顔見知りから友人、そして恋人同士へと急速にその愛を育んで行った…
今日はひさしぶりの休日。
アンナは、休日には午前中のうちに買い物をすませ、午後は家でたまった家事や雑用を済ませることに決めていた。
朝食を済ませたアンナは、早速近くの市場へ向かった。
何を買おうかと市場の中を見て回るアンナの足が突然止まった。
(あ……!!)
アンナは、小走りである男の後ろに駆け寄った。
「あ…あの…!」
その声に降り返ったのは、赤い顔をした背の高い男だった。
「あ…あなたは…」
「やっぱり…!
あの…昨日は、傘、ありがとうございました。
すごい土砂降りだったけど大丈夫でしたか?」
「あ…あぁ、僕なら大丈夫ですよ。」
その言葉とは裏腹に、男が発したのは息苦しそうな細い声だった。
「もしかしたら、あなた…」
アンナは、手を伸ばし男の額に手をあてた。
「やっぱり!すごい熱だわ。
昨日の雨のせいね…私が傘を借りてしまったから…」
「違いますよ。
もともと風邪気味だったんです。」
「こんなに熱があるのに出歩いちゃダメですよ!」
「そう思ったんですが、食べるものがなくて…」
「ご家族はいらっしゃらないんですか?」
「あいにくと僕は一人暮らしなんですよ。」
「まぁ…!
じゃあ、私に食事を作らせて下さい!」
「そんなこと…大丈夫です。
果物を買いましたから…」
「果物だけじゃ、元気になれません!
私のせいなんですから、そのくらいのことさせて下さい!」
アンナの勢いに負け、男性はアンナを自宅へ案内した。
「まぁ、うちからすぐ近くだったんですね!」
アンナは男性をベッドに寝かせると、身体の温まる料理を作り食べさせた。
そのことがきっかけとなり、二人は顔見知りから友人、そして恋人同士へと急速にその愛を育んで行った…
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