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29 / 201
side かおり

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だけど、何度か会ううちに少しずつ打ち解けて来て…
柄にもなく、瑠威は人見知りするタイプだったんだってわかった。



そんなある日のこと、衣装のことで打ち合わせしたいことがあるって呼び出されて…
私はまたいつものようにほかのメンバーや小西さんもいるもんだと思ってたら、そこにいたのは瑠威一人。
 冷たい北風が吹き始めた駅前の広場で、彼はひとりで待っていた。



 「……おめでとう。」



 目の前に差し出された赤い薔薇に、私は戸惑い…
そしてようやく思い出した。
その日が私の誕生日だったってことに…



「……あ、ありがとう。」



 男性から花束をもらうなんて、本当に久しぶりのことだったから、瑠威がうんと年下だってことも忘れて胸がときめいた。



 「かおりさん……俺と付き合ってくれないか?」

 「……え?」

 突然の直球過ぎる告白に、一瞬、私は頭が真っ白になって…



一呼吸置いて、私は噴き出した。



そうだ、これは瑠威の悪い冗談なんだ。
そう思ったから笑ってたんだけど、当の瑠威はというと100パーセントの真顔で… 
 
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