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side 瑠威

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「……え?」



 驚いたような顔をしたかと思うと、かおりが急に吹き出した。
なぜだ?俺は笑われるようなことは何も言ってない。
なのに、どうしてかおりは笑うんだ!?



 「何がおかしいの?」

 「え…?だって……」

 苛々した気持ちを俺はかおりにぶつけていた。



 「俺みたいなのはタイプじゃないってこと?」

 口惜しさと苛立ちで、いやみなことを言ってしまった。



 「え……?瑠威……何言ってんの?」

 「だから、聞いてるんだよ。
 俺はタイプじゃないのかって!」

ガキくさいとは思うけど、俺はもうすっかり感情的になっていた。
かおりに笑われたことで、頭に血が上ってたんだ。



 「る…瑠威…本気で言ってるの?」

 「本気に決めってるだろ。」

なぜわからない!
 俺がこんなにかおりのことを想ってるってことが…
腹立たしさは最高潮に達していた。



 「かおり……俺のこと、嫌いか?」

 俺は、半ば自棄になっていた。



 「瑠威…何言ってんの?
 私がいくつだか知ってる?
あんたより、ずっと年上なんだよ。」

 「そんなこと、今更言われなくたって知ってるよ。
だから何?」

 「何って……
あんたは若いんだし、モテるんだから、何も私なんか…」

 「俺はかおりがいいんだ!」

 
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