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side かおり

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 「ええっ!本当ですか?」

 彼は目を丸くしてそう言った。



 「は、はい、ご迷惑でなければ…」

 「迷惑だなんてそんな…
でも…以前、私がお誘いした時、あなたは付き合ってる方がいるからとすっぱりお断りになられたのに、なぜ…」

 私は、無理に笑ってみせた。



 「そのこともまたお話を聞いていただきたくて…」

 「そうなんですか!
わかりました!
では、早速ですが今夜なんてどうですか?」

 「え?こ、今夜ですか?」

 「ご都合が悪いですか?」

 「い、いえ…」

 「善は急げです。
では、今夜…7時でいかがでしょう?」

 「わかりました。」

 「では、7時にお迎えに参ります。」

にこやかな顔で手を振りながら去っていく藤堂さんの後ろ姿を見送るうちに、なんとも言いようのない罪悪感に似た気持ちを感じた。



 私は、藤堂さんを食事に誘った。
だいぶ前に、藤堂さんに食事に誘われたことがあったけど、私には瑠威がいたから、そんな誘いは一蹴した。
なのに、今日はその私が藤堂さんを誘った。



そう…私は藤堂さんの好意を利用することを考えたのだ。
ただ別れたいと言ったところで、瑠威が聞いてくれるはずはない。
こういう場合、一番手っ取り早いのは他に好きな人が出来たということだ。
だけど、唐突にそんなことを言ったところで、瑠威はきっと信じてくれない。
でも、藤堂さんをその相手だと思わせれば、瑠威だってわかってくれるはずだから。

 
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