お題小説2

ルカ(聖夜月ルカ)

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045 : 盗み聞きの値段

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 「リュックさん……?」

リュックが向かった先は、意外にも診療所だった。
カールは荷物も置いていないのだから、ここに立ち寄る用はない筈だ。
まさか、リュックはカールを遠くにでも連れて行こうというのか?
その前にせめて一目、母親に会わせるつもりなのか?



 「さぁ、入れ。」

リュックはカール達を病室の中へ押し入れた。
 二人の母親はまだ眠っていて、傍にはクロワが付き添っていた。
リュックは二人を長椅子に座らせると、周りに気を遣いながら小さく咳払いをした。



 「カール、良いか、よく聞くんだぞ。
おまえの仕事はあそこに寝ている女の人の世話をすることだ。
 先生やクロワさんの言い付けをよく聞いて、しっかり世話をするんだぞ。」

そういうことだったのか…
実に、リュックらしいやり方だ。
 一時でもリュックを疑ってしまったことを、私は心の中で密かに詫びた。
カールは、リュックの話を聞いてもまだピンと来ていないのか、きょとんとした顔でリュックをみつめていた。




 「とても大変な仕事だぞ。
 朝から晩までやることはいっぱいある。
……でも、おまえは俺と約束をしたんだからな。
いやだとは言わせねぇぞ!」

 「リュックさん……ありがとう!」

 感極まった声でそう言って、リュックの手を握り締めたのは兄のテリーだった。



 「リュックさん…そんなんじゃあ仕事にはならないと思います。
 母さんの世話は元々してたことですし…僕がするのが当たり前なんだから…」

テリーとは裏腹に、カールはやけに冷静にそう話した。



 「カール…おまえは賢い子だ。
だけどな、それでもおまえは子供なんだ。
どんなに頑張ったって大人と同じようには働けない。
テリーだって、まだ大人と同じようには賃金をもらえないだろう?
おまえはテリーよりもまだ小さいんだからな。
だから、おまえはおまえの出来る精一杯のことをやる。
それで十分だ。
 端から出来ない事を無理やりやろうと考えたってどうにもならない。
そんなことよりも、自分のやれることをちゃんとやる方が値打ちがあるってもんだ。
……俺の言ってることがわからなくても良い。
 違うと思っても良い。
だけど、俺が話したことをしっかり覚えとけよ。
おまえが大きくなったら、いつかわかるかもしれないからな。」

 「だけど……」

カールはリュックの話にまだどこか納得出来ない様子で、小さな声で異を唱えた。
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