お題小説2

ルカ(聖夜月ルカ)

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047 : 猫の目

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 「こんにちは。
ここにリンゼイさんって人はいるかい?」

リュックはそう声をかけながら扉を叩いた。



 「は~い、どなた?」

 家の中から若い女の声が戻り、そして、扉が開かれた。



 「あ…えっと……
あんた、山の上にジョナサンさん家の娘さんの……」

リュックはほんの一瞬、言葉を詰まらせかけたがすぐに平静を取り戻した。



 「……ええ、リンゼイです。」

 娘は俯き加減に小さな声で呟く。



 私はその時に、リンゼイの母親がはっきりとは言わなかった彼女の事情を知った。
 彼女の顔には、額から片方の目のあたりにかけて黒い痣があったのだ。
 色が白いだけに、その痣はけっこう目立つ。



 「実は、あんたのおふくろさんからあるものを託って来たんだ。」

 「母から…ですか?」

リンゼイは用心しているようだったが、クロワの姿を見て少し安心したのか、私達を家の中に通してくれた。
 部屋の中には必要最低限の家具しかなく、とても若い女性が暮らしてるとは思えない、地味で質素な薄暗い部屋だった。



 *



 「これを母が……!」

 指輪を手渡すと、リンゼイは意外な程に驚いた。



 「あぁ、あんたが隣の大陸に移ると聞いて、そのお守りみたいなつもりであんた用に台座を変えたようだぜ。」

 「私が隣の大陸に……?
……あ……」

 「どうしたんだ?
 違うのか?」

リンゼイは、俯いたまま小さく首を振る。



 「私が家を出たいきさつについては…母から聞かれてますか?」

 「いや…詳しいことは特に聞いてないが……」

 「……そうですか。
 私の顔には見ての通り、痣があります。
 両親は、そのことを気にして私が生まれるとすぐに町を離れ、あんな山の上に家を建てました。
……私は子供の頃から友達と遊んだことはありません。
 両親とメイドさんとしか会ったことがありませんでした。
 子供の頃はそれでもまだ良かった……ですが、大人になって来るに連れ、それがおかしいことだと思えて来たのです。
ある時……確か、十二か十三歳頃に私は家を抜け出し、近くの町に出掛けました。
そこで、私は……初めて現実に対面したんです。
もちろん、私の顔に痣があることは知ってましたが、そのことについて誰も悪くは言わなかった。
だから、私も少しも気にしていなかったんです。
 町で、人々が私を見てなにかおかしな顔をするのには気付きましたが、それでも私はそれがこの痣のせいだとは思わなかった。
だけど……同じ年頃の少女達を見かけ、私がつい嬉しくなって話しかけた時……
彼女達は私から退いたんです。
そして、顔の痣のことを気持ち悪いって、はやされて……」

 遠い過去の話に、彼女は瞳を潤ませた。

 
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