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054 : 同じ歩幅で
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「さて…と……」
リュックがどこか不自然な声を発したのは、私達がようやく山をひとつ越えた時のことだった。
「腹が減ったな。
俺は、ちょっと、ゆっくり休める場所がないか探して来るから、おまえはここでマルタンと待ってろ。」
「え…?それなら僕も一緒に行くよ。」
「でも、マルタンはさっきから足が痛くてしょうがないらしいんだ。
な、マルタン?」
「え…?あ…あぁ、そうなんだ。
山歩きが堪えたんだな、きっと。」
不意に、事実とは違う事をリュックに言われ、私は一瞬躊躇ったが、これがさっき彼の言っていた「用事」なのだと気が付き、咄嗟に口裏を合わせた。
「マルタンをこんな所に一人でほっといたら可哀相だろ?
だから、すまないがおまえが付き添ってやってくれ。」
「……うん、わかった。」
ディヴィッドは本当に心根が優しく、聞き分けの良い子だ。
本根を言えば、リュックと一緒に行きたいだろうに……
「よし、それじゃあ、マルタンの事は頼んだそ!
なるべく早く戻って来るからな!」
手を振って駆け出したリュックに、ディヴィッドは作り笑顔で応えた。
「ディヴィッド…すまないな。
私のせいで……」
「ううん、困った時はお互い様だよ。
そんなことより、マルタンさん…足は大丈夫?」
「あ…あぁ…大丈夫だ。
しばらく休んでたらじきに治ると思う。」
「そう…良かった。」
ディヴィッドの笑顔は無邪気でとても可愛い。
リュックでなくとも、誰もがそう感じることだろう。
「なぁ、ディヴィッド……
旅は楽しいか?」
「うん、ものすごく楽しいよ!
僕、隣町くらいしか行ったことがなかったから…何を見てもものすごく面白い!
マルタンさん達は、ずっと旅をしてるんだよね?
リュックさんとも旅の途中で出会ったんだよね?」
「よく知ってるんだな。」
「うん、リュックさんに聞いたんだ。
マルタンさんのこと、恩人だって言ってたよ。」
「恩人……か……」
リュックが戻って来るまでの間、私達は他愛ない話をしながら待っていたが、リュックはなかなか戻って来ない。
ディヴィッドになにか食べるようすすめたが、リュックが戻ってくるまで待つと頑なに拒み続けた。
そのことも心配だったが、リュックになにかあったのではないかという想いも頭に浮かび、私は意を決して立ち上がった。
「リュックを探しに行こう。
行き違いにならないように注意してな……」
不安そうな顔で見上げるディヴィッドと手を繋ぎ、私達はゆっくりと歩き始めた。
「さて…と……」
リュックがどこか不自然な声を発したのは、私達がようやく山をひとつ越えた時のことだった。
「腹が減ったな。
俺は、ちょっと、ゆっくり休める場所がないか探して来るから、おまえはここでマルタンと待ってろ。」
「え…?それなら僕も一緒に行くよ。」
「でも、マルタンはさっきから足が痛くてしょうがないらしいんだ。
な、マルタン?」
「え…?あ…あぁ、そうなんだ。
山歩きが堪えたんだな、きっと。」
不意に、事実とは違う事をリュックに言われ、私は一瞬躊躇ったが、これがさっき彼の言っていた「用事」なのだと気が付き、咄嗟に口裏を合わせた。
「マルタンをこんな所に一人でほっといたら可哀相だろ?
だから、すまないがおまえが付き添ってやってくれ。」
「……うん、わかった。」
ディヴィッドは本当に心根が優しく、聞き分けの良い子だ。
本根を言えば、リュックと一緒に行きたいだろうに……
「よし、それじゃあ、マルタンの事は頼んだそ!
なるべく早く戻って来るからな!」
手を振って駆け出したリュックに、ディヴィッドは作り笑顔で応えた。
「ディヴィッド…すまないな。
私のせいで……」
「ううん、困った時はお互い様だよ。
そんなことより、マルタンさん…足は大丈夫?」
「あ…あぁ…大丈夫だ。
しばらく休んでたらじきに治ると思う。」
「そう…良かった。」
ディヴィッドの笑顔は無邪気でとても可愛い。
リュックでなくとも、誰もがそう感じることだろう。
「なぁ、ディヴィッド……
旅は楽しいか?」
「うん、ものすごく楽しいよ!
僕、隣町くらいしか行ったことがなかったから…何を見てもものすごく面白い!
マルタンさん達は、ずっと旅をしてるんだよね?
リュックさんとも旅の途中で出会ったんだよね?」
「よく知ってるんだな。」
「うん、リュックさんに聞いたんだ。
マルタンさんのこと、恩人だって言ってたよ。」
「恩人……か……」
リュックが戻って来るまでの間、私達は他愛ない話をしながら待っていたが、リュックはなかなか戻って来ない。
ディヴィッドになにか食べるようすすめたが、リュックが戻ってくるまで待つと頑なに拒み続けた。
そのことも心配だったが、リュックになにかあったのではないかという想いも頭に浮かび、私は意を決して立ち上がった。
「リュックを探しに行こう。
行き違いにならないように注意してな……」
不安そうな顔で見上げるディヴィッドと手を繋ぎ、私達はゆっくりと歩き始めた。
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