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ルカ(聖夜月ルカ)

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金色の花

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「ジェイミー…何をしているの?」

背中からかけられた声に振り返ると、ケイトが不思議そうな顔で僕を見ていた。



「うん…種を植えようと思ってね。」

「種……?」

僕がそんなことをしているのが彼女には意外なことだったらしく、ケイトの顔はますます困惑したものに変わった。



「これ…」

僕は手の平に載せた黒い縞模様の平たい種を差し出した。









七年前の僕は、生きる目的を失いあてのない旅を続けていた。
結婚を目前にして急に逝ってしまったマリア…
それは、真正面から受け止めるには大きすぎる現実で…



友人や家族にも言えなかった。
この旅が死に場所を探す旅だという事を。
見送る皆に、僕は精一杯の作り笑顔を浮かべ、元気良く手を振った。



一年程が過ぎ、なかなか決心がつかない自分に苛立っていた頃、僕は酒場である老人に出会った。
酒をおごったお礼にとその老人がくれたのがこの種だ。



「これはな、願いが叶う金色の花の種だ。」



願いが叶う…?馬鹿馬鹿しい…僕はそう思いながらも、退屈しのぎに老人の話を聞いていた。



「金色の花を咲かせることはとても難しい。
日当たりの良い栄養のある土を選び、最低でも一ヶ月は毎日水をやって、虫がつかないように気を配り…とにかくとても難しいんだ。
だから、旅をしながらなんてとてもじゃないけど無理だぞ。
しっかりと腰を落ち付けて取り組まなきゃな…」



そんなことは忘れたつもりだった…
だけど、さらに一年経ってもなかなか死にきれなかった僕は、ある日、ふと、その種の事を思い出した。
そして、いつしかその種に頼るようになっていた。
どこかにこの種を植え、金色の花を咲かせて安らかに眠れるように願いをかけようと…

今、思えば僕の心は相当病んでいたのだとわかる…だけど、その時は本気でそんなことを考えていた。

それからの僕は長く滞在出来そうな日当たりの良い土地を探し、旅を続けるようになった。
……しばらくして、僕はある町でケイトと知り合った。
彼女と知り合って、僕の壊れた心が少しずつ修復されていくのを感じた。
明るくて元気で最初は苦手だと感じてた彼女は、話してみると実はとても繊細な人だということがわかり…僕はマリアの事や死に場所を探して旅を始めた事…今まで誰にも言えなかったすべてを話し…彼女はそれらを受け止めてくれた。



僕達は自然に恋に落ち、二人で働いてつい最近ようやくこの家を買った。
日当たりの良い庭付きのこの家を…









「ジェイミー、それ何の種なの?」

「花が咲いたら願いが叶うって言われてる伝説の金色の花の種だよ。」

「金色の?願いが叶う…?」

「咲かなくても良いんだ。
……もう願いは叶ったからね…」

ケイトはゆっくりと首を傾げて僕の顔をみつめた。 
 
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