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ルカ(聖夜月ルカ)

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「百年後も今と変わらず若いままでいられるなんて……
エレナ…君は、世界一幸せな女だね……」



あなたのジョークにはしょっちゅう笑わせられたけど、今度ばかりは笑えない。



「じゃあね、エレナ。
……あ、そうだ…風邪には気を付けてね!」

そう言うと、ステファンは肩を震わせながら、私にくるりと背を向け歩き始めた。



わかってたはずなのに……
ステファンはいつも誰に対しても明るくて楽しくて、感情的になるようなことは全くない。
だけど、その笑顔の裏にぞっとするような冷酷さを隠していることに、私は気が付いていたはずなのに……







「いや!いやよ!
絶対にいや!
私、あなたとはどんなことがあっても別れないから!」

「……わかったよ。君には負けた。
そんなに言うのなら、僕も考え直すよ。
……そうだ、エレナ……
僕らが最初に出会ったあの山に登らないか?
あそこで、朝日を一緒に見よう!
そうすれば、僕も君に出会った頃の気持ちを思い出せるような気がするんだ。」

私は、彼のその言葉を信じて、夏でも雪の解けることのないあの山へ登った。



「まぁ…!なんて綺麗な…
ステファン!見……」

振り向いた途端、私の首に細いロープがかけられた。
何が起こっているのか、理解さえ出来ないうちに私はすごい力で首を締められ……



息が切れるその時になってようやく私は理解した。
彼は考え直す気なんて、最初からなかったんだってこと。



彼には精一杯尽くしてきたつもりだったけど…
私は最後に彼が一番嫌う事をしてしまったんだ……



「僕は常に自由でいたいんだ。」



それがステファンの口癖だった。
なのに、私は彼のその意志を邪魔してしまった。
だから、こんなことに……



降り積もった雪の原野に、彼は鼻歌を歌いながら穴を掘った。
固くなった雪を掘るのは大変らしく、こんなに寒いのに彼は汗だくになって……そして、彼は私をその中に横たえた。



私の身体はもう寒さを感じることはないけれど、こんな所でひとりぼっちで氷漬けにされてしまうのかと思ったら、やっぱり悲しい……



言わなきゃ良かった、あんなこと…
彼の邪魔をしなければ良かった……



さようなら、私の愛しき人……
冷たく暗い穴の中で、私の流した後悔の涙さえ凍りついた。
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