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ルカ(聖夜月ルカ)

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ナルシスト

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(……ん?)



俺は、ショウウィンドウにそっと近付いた。
なんだ、俺が映ってただけか。
えらくカッコイイ奴がいるなと思ったら…
俺は思わず苦笑した。



(……ん?)



通りすがりの若い女性の二人組が、俺の方を見ながら、何事かを囁きあってる。
きっと、芸能人の○○に似てるとか、彼女がいるかどうかを話しているのだろう。
そりゃあ、気にはなるだろう。
俺は優雅に手を振ってやった。
彼女達は真っ赤になって駆けて行った。
今時、純情で可愛らしいな。



俺は特定の彼女は作らないと決めている。
一人に決めたら、他の女性達が悲しむし、俺の取り合いでトラブルでも起きたら大変だからだ。
俺は諍いは嫌いだ。
だから、トラブルになりそうなことは最初から避けている。



大学でも、彼女はいらないと公言している。
バレンタインデーのチョコだって、もちろん禁止だ。
禁止と言っても聞かないだろうと思い、俺は甘いものが苦手だと触れ回った。
それなのに、今年はチョコを渡して来る者がいた。
本当なら断るところだが、幸い誰もいないところでの出来事だったから、受け取ることにした。
俺は女性の涙が苦手だからだ。
考えてみれば、悪いのはすべて俺なんだ。
俺がこんなにカッコイイんだから、女性達が夢中になるのも当然だ。



もうひとつ、厄介なイベントがある。
誕生日だ。
俺は、年を取りたくないから誕生日を祝わないと話した。
そんな無理矢理な理由にも、女性達は応じてくれた。
本当に申し訳ない。
みんな、俺にプレゼントを渡したりパーティを開きたいだろうに。
でも、そこで俺の取り合いが始まったら大変だ。
だからやっぱり出来ない。
俺のようなカッコイイ男は、孤独でいるしかないんだ。
辛いけど、皆のためだ。



そのおかげで、俺のまわりでは特にトラブルもなく、なんとか平和に過ごせている。



大変なことだが、これからも俺はこのスタンスを続けていくつもりだ。
俺を愛してくれる数多くの女性達のために。







「なに、あの男…すっごい趣味悪い……」

「麻里奈、知らないの?
経済学部のナル男、山田照男。有名よ。」

「え?あんな不細工でナル?」

「そうなんだよね。だから、彼女はおろか、友達もいないらしいよ。」

「へぇ~…確かにあれじゃあ、友達も出来ないわ。」



そんな現実も知らず、山田は今日も耽美な自己愛に陶酔する。

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