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ミシン
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「ミシェル!ここはこれで良いの?」
「どこ?あぁ、そこはゆっくりと小さな目で縫ってね。」
「わかったわ。ありがとう。」
私のデザインしたドレスが、少しずつ、形になっていく。
それは、私にとって至福の一時だった。
*
カタカタカタカタ……
お母さんの踏む規則正しいミシンの音が、私の子守唄だった。
私の父は早くに亡くなり、お母さんが仕立て物をしながら
、私達を育ててくれた。
「お母さん、私もミシンを使ってみたい。」
「そうね。ミシンを使うにはもうしばらくかかるわね。
さ、ここからここまで、シツケをかけて。」
私はまだ幼い頃からお母さんの仕事に興味があり、少しずつ、手伝いを始めた。
私はミシンが使いたかったのだけど、お母さんが教えてくれたのはお裁縫の基本ばかりで、ミシンにはなかなか触らせてくれなかった。
初めてミシンを触らせてもらったのは15歳の頃だった。
その頃には、私は裁縫の基本は出来るようになっていたし、母の仕事を手伝えるようになっていた。
「ミシェル…あなた、仕立て屋さんで働く気はない?」
「え?」
「私にはあなた達がいたから、家で仕立て物をしていたけれど、お店で働いた方が新しい技術も身に付くし、いろんなオーダーが入るから、あなたのためにも良いと思うわ。
実は、メアリーさんにも頼まれてるの。
腕のある若い子が欲しいらしいのよ。」
「でも、私なんて……」
「あなたなら、やれるわ。」
結局、私はメアリーさんの仕立て屋で働くようになった。
そこでは、今までに仕立てたことのないドレスや男性の礼服等のオーダーもあり、私は新しい技術をどんどん身に付けていった。
「ミシェル、ちょっと良いかしら?」
「はい、メアリーさん。」
「今日、シェアリー様からご依頼を受けたんだけど、このシルクの布で、娘さんのドレスを仕立ててほしいんですって。
娘さんは、明るい性格だからこういう色味がお好きらしいんだけど、お母様のご希望としては、派手になり過ぎないようにしたいらしいのよ。
どんなデザインが良いかしら?」
「そうですね。でしたら、こういうのは…」
私は紙にデザインを描いた。
昔から、私は服を考えるのが好きだったから、雑作ないことだった。
「良いわ!品があって、素敵だわ!」
私のデザインはシェアリー夫人にもとても気に入ってもらった。
それからは、デザインを頼まれることも増え、店は大繁盛し、忙しい毎日を送った。
そのうち、私の評判はさらに遠くまで広まり…
「ミシェル、大変よ!」
「どうしたんですか?」
「王妃様から…王妃様からの依頼が来たのよ!」
「な、なんですって!?」
目を丸くしたミシェルは、封筒を受け取った。
そこには、近々結婚する王子の妃のために、ウェディングドレスを作って欲しいと書いてあった。
「とにかくすぐにお城に行かなきゃ!」
私はメアリーさんと一緒に馬車に揺られ、王都のお城へ向かった。
初めての大都会、それだけでも感激なのに、私達はお城に行き、王様や王妃様と謁見して…
それからは、目まぐるしい毎日だった。
いくつものデザインをして、採寸をして、仮縫いをし…
お店の人達も来て、朝から晩まで働いた。
やがて、私のデザインしたウェディングドレスは完成した。
おそらく、この国で一番美しいドレスだ。
「王子様、おめでとうございます!」
「お妃様、おめでとうございます!」
テラスから民衆に手を振る王女様は、身にまとった最高のウェディングドレスに負けないくらい、美しく…
私は思わず感激の涙を流した。
「どこ?あぁ、そこはゆっくりと小さな目で縫ってね。」
「わかったわ。ありがとう。」
私のデザインしたドレスが、少しずつ、形になっていく。
それは、私にとって至福の一時だった。
*
カタカタカタカタ……
お母さんの踏む規則正しいミシンの音が、私の子守唄だった。
私の父は早くに亡くなり、お母さんが仕立て物をしながら
、私達を育ててくれた。
「お母さん、私もミシンを使ってみたい。」
「そうね。ミシンを使うにはもうしばらくかかるわね。
さ、ここからここまで、シツケをかけて。」
私はまだ幼い頃からお母さんの仕事に興味があり、少しずつ、手伝いを始めた。
私はミシンが使いたかったのだけど、お母さんが教えてくれたのはお裁縫の基本ばかりで、ミシンにはなかなか触らせてくれなかった。
初めてミシンを触らせてもらったのは15歳の頃だった。
その頃には、私は裁縫の基本は出来るようになっていたし、母の仕事を手伝えるようになっていた。
「ミシェル…あなた、仕立て屋さんで働く気はない?」
「え?」
「私にはあなた達がいたから、家で仕立て物をしていたけれど、お店で働いた方が新しい技術も身に付くし、いろんなオーダーが入るから、あなたのためにも良いと思うわ。
実は、メアリーさんにも頼まれてるの。
腕のある若い子が欲しいらしいのよ。」
「でも、私なんて……」
「あなたなら、やれるわ。」
結局、私はメアリーさんの仕立て屋で働くようになった。
そこでは、今までに仕立てたことのないドレスや男性の礼服等のオーダーもあり、私は新しい技術をどんどん身に付けていった。
「ミシェル、ちょっと良いかしら?」
「はい、メアリーさん。」
「今日、シェアリー様からご依頼を受けたんだけど、このシルクの布で、娘さんのドレスを仕立ててほしいんですって。
娘さんは、明るい性格だからこういう色味がお好きらしいんだけど、お母様のご希望としては、派手になり過ぎないようにしたいらしいのよ。
どんなデザインが良いかしら?」
「そうですね。でしたら、こういうのは…」
私は紙にデザインを描いた。
昔から、私は服を考えるのが好きだったから、雑作ないことだった。
「良いわ!品があって、素敵だわ!」
私のデザインはシェアリー夫人にもとても気に入ってもらった。
それからは、デザインを頼まれることも増え、店は大繁盛し、忙しい毎日を送った。
そのうち、私の評判はさらに遠くまで広まり…
「ミシェル、大変よ!」
「どうしたんですか?」
「王妃様から…王妃様からの依頼が来たのよ!」
「な、なんですって!?」
目を丸くしたミシェルは、封筒を受け取った。
そこには、近々結婚する王子の妃のために、ウェディングドレスを作って欲しいと書いてあった。
「とにかくすぐにお城に行かなきゃ!」
私はメアリーさんと一緒に馬車に揺られ、王都のお城へ向かった。
初めての大都会、それだけでも感激なのに、私達はお城に行き、王様や王妃様と謁見して…
それからは、目まぐるしい毎日だった。
いくつものデザインをして、採寸をして、仮縫いをし…
お店の人達も来て、朝から晩まで働いた。
やがて、私のデザインしたウェディングドレスは完成した。
おそらく、この国で一番美しいドレスだ。
「王子様、おめでとうございます!」
「お妃様、おめでとうございます!」
テラスから民衆に手を振る王女様は、身にまとった最高のウェディングドレスに負けないくらい、美しく…
私は思わず感激の涙を流した。
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