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ルカ(聖夜月ルカ)

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洋風居酒屋

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「お待たせしました。赤ワインです。」



今日も、店はほぼ満席だ。
昔からの夢だった洋風居酒屋を開店して、早くも一年近い時が流れた。
これといったトラブルもなく、いつの間にか、常連さんも増えた。







「あぁ、疲れた。」

「あ、赤ワイン、これからはいつもより少し多めに仕入れた方が良いかも。」

「そうね。最近は良く出るわね。」

店は、妻と妻の妹の三人できりもりしている。
最初は夫婦二人で始めたが、お客が増えてからはとても二人では回せず、そんな時、たまたま休職中の妻の妹に来てもらうようになったんだ。



「義兄さん、ラクレット、大当たりだったでしょ。
今日もずいぶん出たわよ。」

「あぁ、真奈美ちゃんの言った通りだったな。」

メニューは三人で決めている。
真奈美ちゃんは、若い子の流行りを良く知ってるから助かる。



「ボジョレーはどのくらい入れようか?」

「去年は全然足りなかったものね。」

「なにか新メニューもほしいよな。」

仕事が終わるとぐったりなのに、ついそんな話に花が咲いてしまう。



「そういえば、一周年ももうすぐだけど、何かやった方が良いかしら?」

「そうだよな。何が良いかな。
1ドリンクプレゼントとか?」

「えーー…」
「えーーっ。」



妻と義妹が同じタイミングで声を上げた。



「だめか?」

「しょぼい!」
「ダサい!」



「じゃあ、何が良いんだよ。」

「何かちょっとした小皿ものはどうかしら?」

「そうね。オシャレなおつまみの盛り合わせみたいな…」

「うんうん、良いね。
そんなの出てきたら嬉しいよねぇ。」

妻と義妹は、顔を寄せあって盛り上がっている。



酒や食べることが好きなだけで、店を始めてもうまくいくはずがない。
そんな風に言われたこともあったけど、思い切って始めて良かったと今では思う。
みんなが楽しく飲んで食べて寛いで、笑顔になって…



(まだまだ頑張らなきゃな!)



疲れてるはずなのに、なんだか無性にやる気がわいてくる。
みんなに喜んでもらえるように、もっと頑張ろう!
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