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la poupee pure ver.
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次の朝、カミーユは仕事を休み、ルネの結婚相手の家を探しに出かけた。
あちこち探し回り、やっとみつかった時はもう夕方近くになっていた。
その屋敷は、カミーユが考えていた通り、とても大きく立派なものだった。
扉を叩き、しばらくすると年輩の男が現れた。
「なんですって…!」
男の話によると、夫妻は仕事の関係で数日前に遠い東の異国へ旅立ったという…
おそらく数年は帰ってこないだろうということだった。
(…そんな…)
憔悴しきった顔でカミーユは家路についた。
§§§§§§§§§§§§§§§§§§
「カミーユ…何か良くないことがあったのね…」
「あぁ、クロエ…
少し遅かったようだ…
ルネとご主人は異国へ旅立った後だった…
何年かは帰って来ないだろうということだったよ…」
「そうなの…
やはりこれが私の運命だったのね…
でも、ありがとう…
あなたはここまでやってくれたんだもの。
私はもう満足よ…」
「何を言ってるんだ、クロエ!
僕は待つ…
ルネが帰ってくるのを何年だって待つから…」
「もういいのよ…
もう私のことは忘れて…
他の人と幸せになってちょうだい。」
「そんなこと、出来るわけないだろう!」
「カミーユ、私を見て!今の私はお人形なのよ。
こうやってあなたとお話が出来るのは夢の中でだけ。
もうふれあうこともなにも出来ないのよ!
触れ合っても髪を撫でられてもなにも感じないお人形なの!」
「君の外見が変わろうと、君は昔のままのクロエだ…
僕が愛したクロエに変わりはないんだ…
君がなんと言おうと、僕は決して諦めないよ…!」
「…カミーユ…」
§§§§§§§§§§§§§§§§§§
それからというもの、カミーユとクロエは毎晩夢の中で話し合った。
週末になると、カミーユはクロエを連れていろいろな所へ遊びにいった。
友人達は、クロエを失ったショックからカミーユはおかしくなってしまったのだと思い、病院に連れていこうとしたがカミーユは頑として聞き入れなかった。
仕事も日常のことも普通に出来るということから、それなら問題もなかろう…と、そのうち皆からも見放され、誰もカミーユの所へは訪れることもなくなり、それが却ってカミーユとクロエの関係をますます親密なものにしていった。
ふと気が付けば、ルネ達が異国へ旅立ってから六年余りの歳月が過ぎていた。
そんなある日、カミーユは街で昔の友人に出会った。
次の朝、カミーユは仕事を休み、ルネの結婚相手の家を探しに出かけた。
あちこち探し回り、やっとみつかった時はもう夕方近くになっていた。
その屋敷は、カミーユが考えていた通り、とても大きく立派なものだった。
扉を叩き、しばらくすると年輩の男が現れた。
「なんですって…!」
男の話によると、夫妻は仕事の関係で数日前に遠い東の異国へ旅立ったという…
おそらく数年は帰ってこないだろうということだった。
(…そんな…)
憔悴しきった顔でカミーユは家路についた。
§§§§§§§§§§§§§§§§§§
「カミーユ…何か良くないことがあったのね…」
「あぁ、クロエ…
少し遅かったようだ…
ルネとご主人は異国へ旅立った後だった…
何年かは帰って来ないだろうということだったよ…」
「そうなの…
やはりこれが私の運命だったのね…
でも、ありがとう…
あなたはここまでやってくれたんだもの。
私はもう満足よ…」
「何を言ってるんだ、クロエ!
僕は待つ…
ルネが帰ってくるのを何年だって待つから…」
「もういいのよ…
もう私のことは忘れて…
他の人と幸せになってちょうだい。」
「そんなこと、出来るわけないだろう!」
「カミーユ、私を見て!今の私はお人形なのよ。
こうやってあなたとお話が出来るのは夢の中でだけ。
もうふれあうこともなにも出来ないのよ!
触れ合っても髪を撫でられてもなにも感じないお人形なの!」
「君の外見が変わろうと、君は昔のままのクロエだ…
僕が愛したクロエに変わりはないんだ…
君がなんと言おうと、僕は決して諦めないよ…!」
「…カミーユ…」
§§§§§§§§§§§§§§§§§§
それからというもの、カミーユとクロエは毎晩夢の中で話し合った。
週末になると、カミーユはクロエを連れていろいろな所へ遊びにいった。
友人達は、クロエを失ったショックからカミーユはおかしくなってしまったのだと思い、病院に連れていこうとしたがカミーユは頑として聞き入れなかった。
仕事も日常のことも普通に出来るということから、それなら問題もなかろう…と、そのうち皆からも見放され、誰もカミーユの所へは訪れることもなくなり、それが却ってカミーユとクロエの関係をますます親密なものにしていった。
ふと気が付けば、ルネ達が異国へ旅立ってから六年余りの歳月が過ぎていた。
そんなある日、カミーユは街で昔の友人に出会った。
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