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la poupee pure ver.
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「ミレーヌさんの悲しみは大きすぎてなかなか立ち直ることが出来ませんでした。
毎日毎日、暗い部屋の中で僕達を抱いて泣いてばかりいました…
そして、何年か経った頃、ミレーヌさんはやっと少しずつ元気を取り戻してきました。
ミレーヌさんは美しい女性だったので縁談もたくさん来たのですが、『私が愛しているのは一生涯、ジョルジュだけです』そう言って、すべての縁談を断り続けていました。
ミレーヌさんがジョルジュさんのことを忘れられないのは僕達のせいだと考えたミレーヌさんのお父さんが、ある日、僕達を売りはらってしまったのです。
僕とルネは離れ離れになり、いろんなお店や人の家に渡っていきました。」
「…子供は大嫌い…!
可愛がるのは最初のうちだけ。
すぐに飽きて屋根裏に放っておかれたり、また売られたりしたのよ…」
「僕も同じようなものです。
ゴミに棄てられたことも何度かありました。
ルネやミレーヌさんに会いたいという望みもいつしか薄れ、何も考えずにぼんやりと過ごすことが多くなりました。
そんなある日のことです。
僕はひさしぶりに名前を呼ばれ、強く抱き締められました。
その頃の僕は古道具屋の片隅にいたのですが、そんな僕をみつけてくれたのがミレーヌさんだったのです。
すぐにはわかりませんでした。
その時のミレーヌさんは僕が知っているミレーヌさんとはずいぶん変わってましたから…
ミレーヌさんは家に帰ると、埃を払い顔を拭いてくれました。
そして、今までずっと僕とルネを探し続けていたことや、僕達が作られる前のこと、いろんなことを毎日話して聞かせてくれました。
新しい洋服もたくさん作ってくれました。
そして、『今度はルネをみつけましょう…!』…ミレーヌさんはそういって暇さえあればいろんな所へルネを探しに行きました。
…だけど、ルネはみつからなかった。
そのうちにミレーヌさんはあまり動けなくなってきました。
森の外まで行くのが精一杯で、遠くには行けなくなったのです。
それからしばらくすると森の外にも行けないようになってきました。
ミレーヌさんは家の中でも寝ていることが多くなりました。
何日かに一度、女の人が食べ物を届けてくれていました。
『ルネをみつけられなくてごめんなさいね…』
そう言った次の日からミレーヌさんはしゃべらなくなりました。
何日かしていつもの女の人が来て、ミレーヌさんは連れていかれました。
それからは僕はずっと一人であの部屋にいたのですが、ミレーヌさんは二度と帰って来ませんでした…」
ビセンテは、長い話を一気に話した。
「ビセンテ…
ミレーヌさんは亡くなったんだよ…」
「…亡くなった?
ジョルジュさんと同じですね。
もしかしたらそうではないかと思っていましたが、僕にはよくわからなかったのです。」
「ビセンテ…私、クロエに身体を借りたからわかるわ。
亡くなるっていうのは身体がなくなることで、多分、ものすごく悲しくて辛いことなの…」
「ひとりぼっちでいることよりも?」
「そうね。
多分、ひとりぼっちでいることよりもずっと悲しくて辛くて痛いことなのよ。」
毎日毎日、暗い部屋の中で僕達を抱いて泣いてばかりいました…
そして、何年か経った頃、ミレーヌさんはやっと少しずつ元気を取り戻してきました。
ミレーヌさんは美しい女性だったので縁談もたくさん来たのですが、『私が愛しているのは一生涯、ジョルジュだけです』そう言って、すべての縁談を断り続けていました。
ミレーヌさんがジョルジュさんのことを忘れられないのは僕達のせいだと考えたミレーヌさんのお父さんが、ある日、僕達を売りはらってしまったのです。
僕とルネは離れ離れになり、いろんなお店や人の家に渡っていきました。」
「…子供は大嫌い…!
可愛がるのは最初のうちだけ。
すぐに飽きて屋根裏に放っておかれたり、また売られたりしたのよ…」
「僕も同じようなものです。
ゴミに棄てられたことも何度かありました。
ルネやミレーヌさんに会いたいという望みもいつしか薄れ、何も考えずにぼんやりと過ごすことが多くなりました。
そんなある日のことです。
僕はひさしぶりに名前を呼ばれ、強く抱き締められました。
その頃の僕は古道具屋の片隅にいたのですが、そんな僕をみつけてくれたのがミレーヌさんだったのです。
すぐにはわかりませんでした。
その時のミレーヌさんは僕が知っているミレーヌさんとはずいぶん変わってましたから…
ミレーヌさんは家に帰ると、埃を払い顔を拭いてくれました。
そして、今までずっと僕とルネを探し続けていたことや、僕達が作られる前のこと、いろんなことを毎日話して聞かせてくれました。
新しい洋服もたくさん作ってくれました。
そして、『今度はルネをみつけましょう…!』…ミレーヌさんはそういって暇さえあればいろんな所へルネを探しに行きました。
…だけど、ルネはみつからなかった。
そのうちにミレーヌさんはあまり動けなくなってきました。
森の外まで行くのが精一杯で、遠くには行けなくなったのです。
それからしばらくすると森の外にも行けないようになってきました。
ミレーヌさんは家の中でも寝ていることが多くなりました。
何日かに一度、女の人が食べ物を届けてくれていました。
『ルネをみつけられなくてごめんなさいね…』
そう言った次の日からミレーヌさんはしゃべらなくなりました。
何日かしていつもの女の人が来て、ミレーヌさんは連れていかれました。
それからは僕はずっと一人であの部屋にいたのですが、ミレーヌさんは二度と帰って来ませんでした…」
ビセンテは、長い話を一気に話した。
「ビセンテ…
ミレーヌさんは亡くなったんだよ…」
「…亡くなった?
ジョルジュさんと同じですね。
もしかしたらそうではないかと思っていましたが、僕にはよくわからなかったのです。」
「ビセンテ…私、クロエに身体を借りたからわかるわ。
亡くなるっていうのは身体がなくなることで、多分、ものすごく悲しくて辛いことなの…」
「ひとりぼっちでいることよりも?」
「そうね。
多分、ひとりぼっちでいることよりもずっと悲しくて辛くて痛いことなのよ。」
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