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それぞれの旅立ち
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「オスカーさん、ラスター、お帰りなさい。」
畑から戻った二人を、セリナが明るく出迎えた。
「すぐに食事の用意をするわね。
今夜は、ラスターの好きなシャーズのお肉よ!」
「おっ、それは楽しみだな。
朝からこき使われてるから、俺、腹ぺこなんだ。」
「大袈裟なことを言うな。
あんな仕事、子供でも出来る。」
「よく言うぜ。
俺はこの十日程で、こんなに筋肉が着いた!
それだけきつい仕事だってことだろ!」
ラスターはそう言いながら袖をまくり、以前より逞しくなった腕をさらけだした。
「良いじゃないか。
男は力が強いに限る。
さ、こんな所でうだうだ言ってないで、風呂でも浴びてさっぱりしようぜ。」
オスカーは、ラスターの背中をぽんと叩くと、部屋の中へ入って行った。
ゾラーシュの町でもう一人の仲間・フレイザーと落ち合うことになっていることを話すと、オスカーは、それまでの間、自分の家に滞在するよう三人にすすめた。
広い家ではなかったが、三人はオスカーの好意を受け入れ、彼の申し出に従った。
ラスターは、オスカーに父親のような信頼感を感じているのか、次の日から率先してオスカーの畑仕事を手伝うようになった。
セリナは、家の用事を担当し、四人の共同生活は恙無く続いていた。
「それにしても、フレイザーは遅いな。
私達もいろいろあってここへ来るのが遅れたが、まさか彼の方が先に着いてしまったのではないだろうな…」
夕食の席で、ダルシャが静かに呟いた。
「もしそうだとしても、ここで落ち合うことになってるんだから、俺達がいなくてもここにいるはずだろ?
他にどこに行くっていうんだ?」
「まさか、カインさんのことで何かあって…」
「……そうでないことを祈るよ。
とにかく、連絡の取りようがないのだから、ここで待つしかないな。
また明日も宿屋に見に行って来る。
……オスカーさん、思ったよりも長い滞在になってしまって申し訳ありません。
もし、お邪魔でしたら私達は宿屋の方へ行きますから、遠慮なくおっしゃって下さい。」
「馬鹿を言うな。
あんたらのお陰で俺は久し振りに楽しい思いをさせてもらってるんだ。
あんたにはうまいもんを食べさせてもらってるし、セリナには家の中をこんなに綺麗にしてもらったし…こいつには…まぁ、たいして役には立ってないが、一応畑の手伝いをしてもらってるからな。」
オスカーのその憎まれ口が、ラスターへの愛情の裏返しであることは明らかだった。
二人の間には、いつの間にか強い絆のようなものが感じられるようになっていた。
「オスカーさん、ラスター、お帰りなさい。」
畑から戻った二人を、セリナが明るく出迎えた。
「すぐに食事の用意をするわね。
今夜は、ラスターの好きなシャーズのお肉よ!」
「おっ、それは楽しみだな。
朝からこき使われてるから、俺、腹ぺこなんだ。」
「大袈裟なことを言うな。
あんな仕事、子供でも出来る。」
「よく言うぜ。
俺はこの十日程で、こんなに筋肉が着いた!
それだけきつい仕事だってことだろ!」
ラスターはそう言いながら袖をまくり、以前より逞しくなった腕をさらけだした。
「良いじゃないか。
男は力が強いに限る。
さ、こんな所でうだうだ言ってないで、風呂でも浴びてさっぱりしようぜ。」
オスカーは、ラスターの背中をぽんと叩くと、部屋の中へ入って行った。
ゾラーシュの町でもう一人の仲間・フレイザーと落ち合うことになっていることを話すと、オスカーは、それまでの間、自分の家に滞在するよう三人にすすめた。
広い家ではなかったが、三人はオスカーの好意を受け入れ、彼の申し出に従った。
ラスターは、オスカーに父親のような信頼感を感じているのか、次の日から率先してオスカーの畑仕事を手伝うようになった。
セリナは、家の用事を担当し、四人の共同生活は恙無く続いていた。
「それにしても、フレイザーは遅いな。
私達もいろいろあってここへ来るのが遅れたが、まさか彼の方が先に着いてしまったのではないだろうな…」
夕食の席で、ダルシャが静かに呟いた。
「もしそうだとしても、ここで落ち合うことになってるんだから、俺達がいなくてもここにいるはずだろ?
他にどこに行くっていうんだ?」
「まさか、カインさんのことで何かあって…」
「……そうでないことを祈るよ。
とにかく、連絡の取りようがないのだから、ここで待つしかないな。
また明日も宿屋に見に行って来る。
……オスカーさん、思ったよりも長い滞在になってしまって申し訳ありません。
もし、お邪魔でしたら私達は宿屋の方へ行きますから、遠慮なくおっしゃって下さい。」
「馬鹿を言うな。
あんたらのお陰で俺は久し振りに楽しい思いをさせてもらってるんだ。
あんたにはうまいもんを食べさせてもらってるし、セリナには家の中をこんなに綺麗にしてもらったし…こいつには…まぁ、たいして役には立ってないが、一応畑の手伝いをしてもらってるからな。」
オスカーのその憎まれ口が、ラスターへの愛情の裏返しであることは明らかだった。
二人の間には、いつの間にか強い絆のようなものが感じられるようになっていた。
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