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ディーラスを目指して
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「あの時はそんなこと考える余裕もなかったな。
とにかく、おまえの具合が悪そうだったから、なんとかしないとってそれだけで…
……でも、今ならおまえが悪い奴じゃないことはよくわかってる。
一緒にいるうちによくわかったよ。」
「……それは同情してるだけだろ。」
「同情か…そうだな、同情はしてるだろうな。
おまえはとても辛い目にあった……そのことに同情するのは悪いことなのか?」
「……もう良いよ。」
突き放すようにそう言って、ジャックはフレイザーに背中を向けた。
フレイザーは、そんなジャックに何も言わず、そっとランプの明かりを吹き消した。
*
「フレイザー、ジャック、待たせたな!」
いつもより数段機嫌の良いダルシャが、馬車の窓から顔をのぞかせ大きく手を振る。
フレイザーとジャックは朝食もそこそこに町の外で馬車が来るのを待っていたが、馬車が来たのはそれから二時間近くした頃だった。
「待たせ過ぎだ。
俺達もう二時間程待ってたんだぞ!」
「まぁそう言うなよ。
俺達も、ダルシャをずいぶん長い事待たせたんだから…
さ、乗った、乗った。」
待ちくたびれて機嫌の悪くなったジャックをなだめ、フレイザーはジャックの背中を押し出した。
「うっ…臭い…」
馬車に一歩足を踏みこんだ瞬間、ジャックは素早く口元を袖口で覆う。
馬車の中は、酒のにおいときつい香水の香りで満たされ、赤い顔をしたブライアンとダルシャが並んで座っていた。
「まぁ、そう言うな。
そのうち消えるさ。」
「昨夜はずいぶんとお楽しみだったみたいだな。」
ジャックは冷たい口調でそういうと、ダルシャの向かいに腰を降ろした。
「たまには良いじゃないか。
そんなことより、ジャック…後少しでディーラスだ。
セリナ達と会うのも久しぶりだな。」
隣に座ったフレイザーがかけた言葉に、ジャックは何も言わずにそっぽを向いた。
とにかく、おまえの具合が悪そうだったから、なんとかしないとってそれだけで…
……でも、今ならおまえが悪い奴じゃないことはよくわかってる。
一緒にいるうちによくわかったよ。」
「……それは同情してるだけだろ。」
「同情か…そうだな、同情はしてるだろうな。
おまえはとても辛い目にあった……そのことに同情するのは悪いことなのか?」
「……もう良いよ。」
突き放すようにそう言って、ジャックはフレイザーに背中を向けた。
フレイザーは、そんなジャックに何も言わず、そっとランプの明かりを吹き消した。
*
「フレイザー、ジャック、待たせたな!」
いつもより数段機嫌の良いダルシャが、馬車の窓から顔をのぞかせ大きく手を振る。
フレイザーとジャックは朝食もそこそこに町の外で馬車が来るのを待っていたが、馬車が来たのはそれから二時間近くした頃だった。
「待たせ過ぎだ。
俺達もう二時間程待ってたんだぞ!」
「まぁそう言うなよ。
俺達も、ダルシャをずいぶん長い事待たせたんだから…
さ、乗った、乗った。」
待ちくたびれて機嫌の悪くなったジャックをなだめ、フレイザーはジャックの背中を押し出した。
「うっ…臭い…」
馬車に一歩足を踏みこんだ瞬間、ジャックは素早く口元を袖口で覆う。
馬車の中は、酒のにおいときつい香水の香りで満たされ、赤い顔をしたブライアンとダルシャが並んで座っていた。
「まぁ、そう言うな。
そのうち消えるさ。」
「昨夜はずいぶんとお楽しみだったみたいだな。」
ジャックは冷たい口調でそういうと、ダルシャの向かいに腰を降ろした。
「たまには良いじゃないか。
そんなことより、ジャック…後少しでディーラスだ。
セリナ達と会うのも久しぶりだな。」
隣に座ったフレイザーがかけた言葉に、ジャックは何も言わずにそっぽを向いた。
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