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ポーリシアの老女
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「そういえば、おばあさんはどうして魔法を使わないの?」
「……私はもう年だからね。
魔力も年々衰えていくからね……」
「へぇ、そうなんだ。」
なにげなく答えたエリオットに、サンドラは急に表情を強張らせた。
「あんた……本当に魔法使いなのかい!?」
サンドラは声さえもが先程とは変わり、明らかに不機嫌な様子でエリオットをみつめる。
「う、うん……
ただ、ボクはそんなにたくさんの魔法を使ったことがないんだ。
っていうか…おかしな話だけど、ボクはどんな魔法を使えるのかも自分ではよくわからない。」
「どういうことだい?」
「だ、だから……ボクは記憶をなくしてるから……」
「え?……あぁ……そうか……そうだったね……」
納得したように頷いて、サンドラの表情がまた穏やかなものに戻った。
「おばあさん、どうかしたの?」
「いや、あんたがあまりおかしなことを言うものだから、嘘を吐いてるのかと思って……
疑ったりしてすまなかったね。
あんたは、骨身を惜しまずこんなに一生懸命働いてくれてるのに……いけないね。
いつの間にか、私は人を信じられなくなってるんだ。」
そう呟いたサンドラの顔が、とても寂しげで……
そのことが、エリオットの心を不安にさせた。
「おばあさん、何か事情でもあるの?
ボクで良かったら相談に乗るけど……
……って、おかしいよね。
ボクなんか何もたいしたことは出来ないのに……
でも……話して楽になれることだったら、ボク、いくらでも聞くからね!」
エリオットは自信なさげに小さな声でそう言った。
サンドラは、伸ばした両手でエリオットの手を握りしめ、口端をあげてほんのわずかに微笑んだ。
「……ありがとう。
あんたは本当に良い子だよ。
そう言ってもらえるだけで十分だよ。」
「おばあさん……」
サンドラの小さな瞳にうっすらと光るものを見たエリオットは、急に深い罪悪感のようなものに襲われた。
「……私はもう年だからね。
魔力も年々衰えていくからね……」
「へぇ、そうなんだ。」
なにげなく答えたエリオットに、サンドラは急に表情を強張らせた。
「あんた……本当に魔法使いなのかい!?」
サンドラは声さえもが先程とは変わり、明らかに不機嫌な様子でエリオットをみつめる。
「う、うん……
ただ、ボクはそんなにたくさんの魔法を使ったことがないんだ。
っていうか…おかしな話だけど、ボクはどんな魔法を使えるのかも自分ではよくわからない。」
「どういうことだい?」
「だ、だから……ボクは記憶をなくしてるから……」
「え?……あぁ……そうか……そうだったね……」
納得したように頷いて、サンドラの表情がまた穏やかなものに戻った。
「おばあさん、どうかしたの?」
「いや、あんたがあまりおかしなことを言うものだから、嘘を吐いてるのかと思って……
疑ったりしてすまなかったね。
あんたは、骨身を惜しまずこんなに一生懸命働いてくれてるのに……いけないね。
いつの間にか、私は人を信じられなくなってるんだ。」
そう呟いたサンドラの顔が、とても寂しげで……
そのことが、エリオットの心を不安にさせた。
「おばあさん、何か事情でもあるの?
ボクで良かったら相談に乗るけど……
……って、おかしいよね。
ボクなんか何もたいしたことは出来ないのに……
でも……話して楽になれることだったら、ボク、いくらでも聞くからね!」
エリオットは自信なさげに小さな声でそう言った。
サンドラは、伸ばした両手でエリオットの手を握りしめ、口端をあげてほんのわずかに微笑んだ。
「……ありがとう。
あんたは本当に良い子だよ。
そう言ってもらえるだけで十分だよ。」
「おばあさん……」
サンドラの小さな瞳にうっすらと光るものを見たエリオットは、急に深い罪悪感のようなものに襲われた。
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