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06 はじめて経験したこと
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その後も何人もの人が私の所へ来られたのですが、私が何も出来ないと知ると、あっさりと踵を返して去って行かれました。
このままではだめです。
絶対に誰も仲間にはなって下さいません。
方法を少し変えなければ…!
そう考えた私は、次の方がいらっしゃった時に思い切って最初から言うことにしました。
「少し尋ねたいのだが…」
声をかけて来られたのは、盛りあがった筋肉が服の上からでもはっきりとわかる男性でした。
おそらくは格闘系の方ではないでしょうか…?
「はいっ!なんでしょう?」
「そなたは、僧侶かな?」
(さぁて、今度こそ頑張らなくては!!)
私は深呼吸をして、その問いに答えました。
「いえ!私は僧侶でも白魔導師でもありません。
見ての通り、腕にはまるで自信がありませんし、ゆえあって、現在魔法も一切使えません。
しかし、私にはすごい取り柄があるのです!
私はとても運が良いのです!!」
私は、さっき決めた通りに、最初から自分の欠点と共に取り柄も一緒に言ったのです!
天使は人々を幸せにするのが仕事ですし、人間は天使を幸せの象徴のように感じています。
そこで私はそのことを私の取り柄にすることにしたのです。
「運が良いのが取り柄とな…?!」
そう言って、男性は耳がびりびりと震えるような大きな声で笑い、こっちも見ずに手を振りながら去って行かれました。
(私、なにかおかしなことを言いましたか?!)
さっき言った事を考えて直していると、周りの人達が私の方を見てくすくすと笑っているのが聞こえました。
(なぜ?一体、何が悪かったんですか?)
私にはその理由がはっきりとはわかりませんでしたが、その場の雰囲気になんとなく惨めな気分になってきました。
(そうか…やっぱり「運が良い」っていうのは取り柄にはならないんですね…
かといって、その他に私には何の取り柄もありません。
こんな私と仲間になってやろうなんて言われる方なんて、やっぱりいらっしゃいませんよね…
物好きな方も今日はいらっしゃらないようです…)
私は、荷物を背負い、店を出ました。
今にも泣きそうな切ない気分でした。
「ちょっと、あんた…」
店を出て少し歩いた所で私は声をかけられました。
声の主は店の扉の前に立っていた男性でした。
腰に立派な剣を携えたクールな二枚目の男性です。
このままではだめです。
絶対に誰も仲間にはなって下さいません。
方法を少し変えなければ…!
そう考えた私は、次の方がいらっしゃった時に思い切って最初から言うことにしました。
「少し尋ねたいのだが…」
声をかけて来られたのは、盛りあがった筋肉が服の上からでもはっきりとわかる男性でした。
おそらくは格闘系の方ではないでしょうか…?
「はいっ!なんでしょう?」
「そなたは、僧侶かな?」
(さぁて、今度こそ頑張らなくては!!)
私は深呼吸をして、その問いに答えました。
「いえ!私は僧侶でも白魔導師でもありません。
見ての通り、腕にはまるで自信がありませんし、ゆえあって、現在魔法も一切使えません。
しかし、私にはすごい取り柄があるのです!
私はとても運が良いのです!!」
私は、さっき決めた通りに、最初から自分の欠点と共に取り柄も一緒に言ったのです!
天使は人々を幸せにするのが仕事ですし、人間は天使を幸せの象徴のように感じています。
そこで私はそのことを私の取り柄にすることにしたのです。
「運が良いのが取り柄とな…?!」
そう言って、男性は耳がびりびりと震えるような大きな声で笑い、こっちも見ずに手を振りながら去って行かれました。
(私、なにかおかしなことを言いましたか?!)
さっき言った事を考えて直していると、周りの人達が私の方を見てくすくすと笑っているのが聞こえました。
(なぜ?一体、何が悪かったんですか?)
私にはその理由がはっきりとはわかりませんでしたが、その場の雰囲気になんとなく惨めな気分になってきました。
(そうか…やっぱり「運が良い」っていうのは取り柄にはならないんですね…
かといって、その他に私には何の取り柄もありません。
こんな私と仲間になってやろうなんて言われる方なんて、やっぱりいらっしゃいませんよね…
物好きな方も今日はいらっしゃらないようです…)
私は、荷物を背負い、店を出ました。
今にも泣きそうな切ない気分でした。
「ちょっと、あんた…」
店を出て少し歩いた所で私は声をかけられました。
声の主は店の扉の前に立っていた男性でした。
腰に立派な剣を携えたクールな二枚目の男性です。
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