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006:星降る空に
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「シンファ……どうかしたの?」
「え…?
あ…あぁ…ごめん。
……昔のこと、思い出してたんだ。」
「そう……」
「あ、それでね…」
僕は、今、思い出していた母さんの話をアズロに話した。
「へぇ…そんなことがあったの?
それで、お母さんがどうして故郷に戻ってたかはわかったの?」
「いいや…結局、わからず仕舞いだよ。
母さんは、故郷の場所や思い出についてはあれこれ話してくれたけど、どうして急に故郷に戻ったのかも、どうして故郷を出たのかも教えてはくれなかった。
でもね、戻って来てからの母さんはまた元に戻ったっていうか…
家にひきこもるようなこともなくなったし、仕事もするようになったんだ。
だから、僕はもうそれで良いかって…そう思って、無理に訊ねることはやめたんだ。」
「そう…きっと、何か理由はあったんだろうけど…
君がそう思うのなら、それで良いんだよ、きっと。
でも、それじゃ、君達はその後もうまくいってたってことでしょう?
だったら……」
アズロの訊きたいことは当然だ。
そう…あの頃までは何事もなかったんだ。
僕の身体はこんなだけど……でも、母さんを抱き締めたあの時をきっかけに、少しずつ自分の意志で相手を触れられるようにもなってたし、ライアンや母さんもそのことをとても喜んでくれて…
きっと、そのうち、皆も僕の身体をすり抜けなくなるんじゃないかって…そんなことを言って僕を勇気付けてくれた。
本当にそうなれるかどうかは別にしても、僕は、そのまま平和な暮らしがずっと続くと思ってたた。
(だけど…そうじゃなかった。)
「シンファ……どうかしたの?」
「え…?
あ…あぁ…ごめん。
……昔のこと、思い出してたんだ。」
「そう……」
「あ、それでね…」
僕は、今、思い出していた母さんの話をアズロに話した。
「へぇ…そんなことがあったの?
それで、お母さんがどうして故郷に戻ってたかはわかったの?」
「いいや…結局、わからず仕舞いだよ。
母さんは、故郷の場所や思い出についてはあれこれ話してくれたけど、どうして急に故郷に戻ったのかも、どうして故郷を出たのかも教えてはくれなかった。
でもね、戻って来てからの母さんはまた元に戻ったっていうか…
家にひきこもるようなこともなくなったし、仕事もするようになったんだ。
だから、僕はもうそれで良いかって…そう思って、無理に訊ねることはやめたんだ。」
「そう…きっと、何か理由はあったんだろうけど…
君がそう思うのなら、それで良いんだよ、きっと。
でも、それじゃ、君達はその後もうまくいってたってことでしょう?
だったら……」
アズロの訊きたいことは当然だ。
そう…あの頃までは何事もなかったんだ。
僕の身体はこんなだけど……でも、母さんを抱き締めたあの時をきっかけに、少しずつ自分の意志で相手を触れられるようにもなってたし、ライアンや母さんもそのことをとても喜んでくれて…
きっと、そのうち、皆も僕の身体をすり抜けなくなるんじゃないかって…そんなことを言って僕を勇気付けてくれた。
本当にそうなれるかどうかは別にしても、僕は、そのまま平和な暮らしがずっと続くと思ってたた。
(だけど…そうじゃなかった。)
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