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迷い side 美穂

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家に帰り、鏡を見て、愕然とする。 
 化粧ははげ、ほとんどすっぴんだった。 
こんな顔を島本さんに見られたと思うと、なんだかとても恥ずかしかった。
でも、今更、そんなことを考えても、見られたものはどうしようもない。



 熱いシャワーを浴びて、昨夜の記憶をたぐってみた。
そうだ…私はお酒に弱いのに昨夜はずいぶん飲んでしまって…
そうそう、けっこう泣いちゃったから、化粧がはげたんだ… 
で、そのあとは…? 
 酔っぱらってたせいか、その後のことがあんまりよく思い出せない。
 私は元々お酒には弱いから、いつも飲むのはほんの少しだけど、昨夜は割と飲んじゃったからなぁ…



記憶が曖昧だけど、私…何か恥ずかしいことを言ったりしたりしてないかな?
 不安を感じながらも、時間がないから焦って準備をして…



(あ、これ…)



バッグにあった小さな包み。
 私はその中から、マイケルベアを取り出して、スマホに付けた。
それを見ると、島本さんを思い出して、頬が緩む。



(大変!急がなきゃ!)



浸ってる時間はない。
 私は慌てて、家から飛び出した。
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