9 / 198
西の森
8
しおりを挟む
しばらく歩き続けているうちに、三人は木々が生い茂った森に着いた。
「ここにお墓があるのかな?」
木々の間から、沈み行くオレンジ色の太陽の光がちらちらと射し込んでいる…
「…ここはとても落ちつく場所ですね…」
「君もそう思っていたか…」
「居心地が良い場所だね。」
森の中をさらに進んでいくと、開けた場所があり、そこにはおそらくこの村に住む森の民全員が集まっていた。
中ほどには、祭壇のようなものとこじんまりしたステージのようなものがある。
「どうぞ、こちらへ」
ヨンネが、ステージ近くの場所へ三人を案内した。
「お待ちしてましたわ」
ディサが出迎え、三人の前に良い香りのする飲み物を差し出した。
まるで三人の到着を待っていてくれたかのように、それからあっという間にあたりは暗くなり、空には大きな満月が姿を現した。
森の民は満月に向かって、なにやら小声で祈りの言葉らしきものを唱え出す。
三人にはどうすれば良いのかわからなかったが、何もしないわけにもいかない。
とりあえず、各々両手を組んでネリーの冥福を祈ることにした。
小さな囁き声の集まりはさざなみのようにも聞こえる…
揺れて揺れて…その祈りは天にいるネリーの元に届くよう、小さな波を繰り返す…
幻想的な雰囲気に三人はいつの間にかすっかり飲みこまれてしまっていたが、不意につけられた明るい光によってまた現実に引き戻された。
あたりにたくさんの松明が灯されたのだ。
突然の明るさにまだ目が慣れないうちに、ステージの上には男女が現れた。
煌びやかな衣装に身を包んだ男女の男性の顔に、三人は見覚えがあった。
ユスカだ…
「ユスカは森の民一番の踊りの名手なんですよ。」
ディサの声にレヴは一瞬はっとする。
「彼女はエイラ。
彼女はとても素晴らしい歌い手です。」
しんと静まり返る空気の中に、エイラの歌が流れる…
天使の声を聞いたことはないが、おそらくはきっとこんな声なのではないか…?
エイラの澄み切った声はレヴにそんなことを感じさせた。
言葉の意味はわからなくとも、心の中に感情がストレートに流れこんで来る…
その歌声に合わせて、ユスカが舞う…
いつものユスカとはまるで別人のような…
そう、今、舞い踊っているユスカはユスカであってユスカではない…
神の化身となっているかのような神々しさだ。
いつの間にか、レヴの瞳からは熱い涙が溢れ出ていた…
この場所は、そしてこの時はとても神聖なものなのだ。
神や死者と一体になる…そのような意味合いのものなのではないかと、レヴは推測した。
「ここにお墓があるのかな?」
木々の間から、沈み行くオレンジ色の太陽の光がちらちらと射し込んでいる…
「…ここはとても落ちつく場所ですね…」
「君もそう思っていたか…」
「居心地が良い場所だね。」
森の中をさらに進んでいくと、開けた場所があり、そこにはおそらくこの村に住む森の民全員が集まっていた。
中ほどには、祭壇のようなものとこじんまりしたステージのようなものがある。
「どうぞ、こちらへ」
ヨンネが、ステージ近くの場所へ三人を案内した。
「お待ちしてましたわ」
ディサが出迎え、三人の前に良い香りのする飲み物を差し出した。
まるで三人の到着を待っていてくれたかのように、それからあっという間にあたりは暗くなり、空には大きな満月が姿を現した。
森の民は満月に向かって、なにやら小声で祈りの言葉らしきものを唱え出す。
三人にはどうすれば良いのかわからなかったが、何もしないわけにもいかない。
とりあえず、各々両手を組んでネリーの冥福を祈ることにした。
小さな囁き声の集まりはさざなみのようにも聞こえる…
揺れて揺れて…その祈りは天にいるネリーの元に届くよう、小さな波を繰り返す…
幻想的な雰囲気に三人はいつの間にかすっかり飲みこまれてしまっていたが、不意につけられた明るい光によってまた現実に引き戻された。
あたりにたくさんの松明が灯されたのだ。
突然の明るさにまだ目が慣れないうちに、ステージの上には男女が現れた。
煌びやかな衣装に身を包んだ男女の男性の顔に、三人は見覚えがあった。
ユスカだ…
「ユスカは森の民一番の踊りの名手なんですよ。」
ディサの声にレヴは一瞬はっとする。
「彼女はエイラ。
彼女はとても素晴らしい歌い手です。」
しんと静まり返る空気の中に、エイラの歌が流れる…
天使の声を聞いたことはないが、おそらくはきっとこんな声なのではないか…?
エイラの澄み切った声はレヴにそんなことを感じさせた。
言葉の意味はわからなくとも、心の中に感情がストレートに流れこんで来る…
その歌声に合わせて、ユスカが舞う…
いつものユスカとはまるで別人のような…
そう、今、舞い踊っているユスカはユスカであってユスカではない…
神の化身となっているかのような神々しさだ。
いつの間にか、レヴの瞳からは熱い涙が溢れ出ていた…
この場所は、そしてこの時はとても神聖なものなのだ。
神や死者と一体になる…そのような意味合いのものなのではないかと、レヴは推測した。
0
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
思いを込めてあなたに贈る
あんど もあ
ファンタジー
ファナの母が亡くなった二ヶ月後に、父は新しい妻とその妻との間に生まれた赤ん坊を家に連れて来た。義母は、お前はもうこの家の後継者では無いと母から受け継いだ家宝のネックレスを奪うが、そのネックレスは……。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる