緑と石の物語

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
120 / 198
想い出作り

34

しおりを挟む




 「フレデリック…頼みがある…」

「なんだ、レヴ?」

「ヴェールの血を、リーズに輸血して欲しいんだ…」

「レヴ…わかってくれ…
血がたりないとかいう問題ではないんだ…
彼女の内臓は気の毒な程に壊れている…
折れた骨が肺に刺さっていた…
衝撃で破裂した臓器もある…
脳にも大きなダメージを受けている…
諦めるしかないんだ…」

「頼む…フレデリック…
ヴェールは…特別なんだ…」

「レヴ…君こそわかってくれ…
気の毒だが…」

「フレデリックさん、お願いです。
どうかなにも言わずに私の血を抜いて下さい!」

二人の気迫に押され、フレデリックはヴェールの腕に針を刺した。
ヴェールの血が注射器に吸い採られていく…



「こ、これは……!!」

注射器に吸いこまれた血は鮮やかな緑色だった。



「フレデリック、頼む…
詳しいことはあとで話す。
とにかく今は私を信じて、私の言う通りにしてくれ!!」



ヴェールの血がリーズの身体に入っていく…
レヴはその様子をじっとみつめていた…



空を染めながら、オレンジ色の朝日が上がっていく…

リーズに変化は見られないが、少なくとも死んではいなかった。



「奇跡だ…
とてもじゃないが、こんなにもつはずはないのに…」

「フレデリック…ヴェールのことは後でゆっくり話すから…
このことは誰にも言わないでくれ。」

「…わかってるさ。
言っても誰も信じないようなことを言いはしないさ。」



それから数日が過ぎた。

「レヴ、見てみろよ。
あんなに深かった傷がほとんど見えなくなっている!」



リーズは相変わらず目覚めることはなかったが、身体の傷は信じられない早さで回復していた。

「おそらく、内臓も治ってきているのだと想う…
医者としては信じがたい話だが、今こうして奇蹟は目の前で起こっているんだ。
否定出来ないな。」

「ありがとう!ヴェール!
君のおかげだ…!
君がいてくれなかったら今頃リーズは…」

「いえ、おかしな反応が出なくて幸いでした。
しかし…リーズさんはまだ意識が戻らないのはなぜなんでしょう?」

「頭を打ってるのが原因かもしれないな…
しばらく様子を見てみよう…」



しかし、それからもリーズの意識が戻る事はなかった…

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

思いを込めてあなたに贈る

あんど もあ
ファンタジー
ファナの母が亡くなった二ヶ月後に、父は新しい妻とその妻との間に生まれた赤ん坊を家に連れて来た。義母は、お前はもうこの家の後継者では無いと母から受け継いだ家宝のネックレスを奪うが、そのネックレスは……。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

あなたが決めたことよ

アーエル
恋愛
その日は私の誕生日パーティーの三日前のことでした。 前触れもなく「婚約の話は無かったことにしよう」と言われたのです。 ‪✰他社でも公開

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

処理中です...