タイトル未定

ｎｅｗ ｌｉｆｅ

１９

「あらあら。」

 先生は、苦笑いで二人の様子をみつめる。
 私も同じように苦笑い。
それにしても、沙也加さんも玲佳さんも本当にすごい。
 多分、今まで何もしたことないんだね。
まさか、炒めものですら、こんなに出来ないとはびっくりだ。



 沙也加さんの、真っ白なレースやフリルの付いたエプロンは、もはや見る影はない。
 玲佳さんは大きくて色鮮やかな花柄のエプロンで、地が黒だからそんなに汚れは目立たないけど。



 「で、出来ました！」



 悪戦苦闘の末、ラタトゥイユが出来上がった。
 沙也加さんは、汗びっしょりだ。
 玲佳さんも、ぐったりしている。
でも、お皿が良いものだからか、料理はそれなりに見える。
 野菜の切り方にさえ目をつぶれば。



 「お疲れ様でした。
では、早速、試食しましょう。」

 先生はそう言って、ワゴンに乗せたラタトゥイユをキッチンの隣に押していく。



 隣は、食堂だった。
 最近は私も見慣れたけど、広くてセンスが良くて、居心地の良い空間だ。



 先生が、ランチョンマットの上に、料理をセッティングする。
 沙也加さん達は、その様子をキラキラした瞳で見つめていた。