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side 慎太郎

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「本当にどうもありがとうございます!」

「明日は夜明けから働いてもらうよ。
ちゃんと働かなかったら、すぐに出て行ってもらうからね!」

「はい!俺…一生懸命働きます!」



どうにかこうにか町まで辿り着いた俺は、その町で農作業の仕事をみつけた。
賃金は酷く安かったが、その代わり、住む所と売り物にならない作物をもらえるってことだったから、とにかく俺はその仕事に飛びついた。

住む場所とされていたのは、今にも潰れそうな掘っ建て小屋だった。
だけど、小さな台所もついてるし、雨露をしのげるならなんだって良いんだ。
野宿よりはマシだからな。
それに、食べ物はとにかくたくさんあった。
俺は、早速、それらを適当な大きさに切って、塩味だけで煮込んだ。
皮もついたままだ。
台所には、鍋やフライパン、ついでに食器やナイフや調味料もあったから本当に助かった。
きっと、前の住人が置いていったのかもしれないな。
……とはいっても、俺は今まで自炊なんてほとんどしたことがない。
キャンプで、友達と一緒にカレーを作ったことがあるくらいだ。



(あの時のカレー…うまかったなぁ……)



この世界にカレーがあるのかどうかはわからないが、今、ここにカレーのルーがないことだけは確かだ。



そんなことを考えながら、俺が野菜を煮こんでいる時も、あいつらはずっと泣きっぱなしだった。
子猫のような声で三人が一斉に泣く。
やつら、腹が減ってるんだ。
でも、俺だって腹ぺこなんだぞ!



「待ってろ!
もう出来る!」



俺は、食器を並べそこにあつあつの……うん、これはポトフだな…そのポトフを注いだ。



「熱いから気をつけるんだぞ!」

「ぎゃあ!」



言ってる側からみみでかが悲鳴を上げた。
みみでかの前にはじゃがいもが転がっている。
熱いのをふーふーもせずに食べるからだ。



「おまえら、いいか?
こうするんだ。」

俺は、じゃがいもみたいなものをふーふーして見せた。
三人は俺のすることをじっと見てる。



「さぁ、やってみろ。」

三人は、野菜をフォークで突き刺して、俺のやった通りに真似をする。
でも、ちゃんと出来てるのははなでかだけだ。
みみでかとあしでかは、くちをとがらせてるだけで息が出ていない。



「よ~し、上手に出来たな。
はなでかは食べて良いぞ。
みみでか、あしでか、おまえ達のはまだだめだ。
ほら、こうやって冷ますんだ。」

俺は、はなでかとあしでかの側に寄り、小さなほっぺたに息を吹きかけた。



「わかるか?
こうやってふーってやらないと、熱い物は冷めないんだ。
ほら、やってみろ。」
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