1ページ劇場②

ルカ(聖夜月ルカ)

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入学式

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「わぁ…綺麗~!」

 「本当に綺麗ね!」

 私達は立ち止まり、あたりの光景に目を細めた。



 小学校へ続く道の途中には、春を強調する桜並木があった。
さやさやと風が吹く度に、ピンクの花びらがはらはらと舞い踊る…
悠太の片方の手は主人と、そして、もう片方の手は私と繋がれ、真新しい空色のランドセルを背負い、誇らしげな笑みを浮かべていた。



 「お友達いっぱい出来るかな?」

 「出来るよ、きっと。」

 「僕、いっぱいお勉強するんだ!」

 「それは楽しみね。」



 小学校の校門の前には、悠太と同じような子供と親で溢れていた。
 皆、今日の空と同じような晴れやかな笑顔を浮かべている。



 「えっと……」

 「悠太、3組はこっちだ。」

 悠太は、教室に入ると、自分の名前の書かれた席に座った。



 「ママー。」

 席に着いた悠太が、不安そうな顔で私達の方を振り返る。



 「悠太、ちゃんと座ってないとだめでしょ?」

 「ママ…どうして僕の席だけお花があるの?
 他の子の席にはないよ。」

 私と主人は思わず顔を見合わせた。



 「そ、それはね…悠太が特別良い子だからよ。
このクラスで一番の印なの。」

 「そうなの?なんだ…そっか~…」

 悠太の顔に笑みが戻った。



 本当のことは言えるはずがない。



 悠太はまだ子供だし、しかも、あの時は眠ってたから、あの子が気付かないのも無理はない…



悪い予感なんて、欠片程も感じなかった。
 早起きして、ちょっと遠くのテーマパークまで向かって、一日中楽しく過ごした。
よほど疲れたのか、帰りは車に乗った瞬間から悠太は私の膝に頭を載せて眠ってて…
そんな悠太を見ながら、私もついうとうとしかけた時のことだった。
 主人の大きな声ではっと我に返ると、目の前には大きなトラックが迫っていて……



何かを考える暇さえなかった。
ほんの一瞬で、私達親子の人生は終わった。



 心残りはいっぱいあるけれど、ただ、悠太が怖い想いや痛い思いをしなくて良かったと思う。
 何も知らないまま、逝けて良かった。



 今しばらく、私達は、この嘘を吐き通そう。
 悠太が真実に気付くその日まで……

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