1ページ劇場②

ルカ(聖夜月ルカ)

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だめ親父

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 「じゃあ、行って来ます。」

 「気を付けてな。」



 妻は子供たちを連れて、動物園に行った。
なんでも、今日は無料で入れるらしい。
 無料だかなんだか知らないが、こんな暑い日に動物園だなんて冗談じゃない…
襖を張ることを言い訳に、お供しないですんだことを俺は心の底から喜んだ。
 妻は、夕方までには帰って来ると言っていた。
 襖はそれまでに張れば良い。



 俺は、ソファに寝ころび、さほど関心のないテレビを見た。
つまらないワイドショーだ。
あまりにつまらなかったせいで、いつの間にか俺は眠っていた。



 (うん?あ、もうこんな時間か…)



 目が覚めたらもう昼過ぎになっていた。
 腹が減って、冷蔵庫をのぞいたがたいしたものは入っていない。
 何かを作るのは面倒だからいやだし、この暑い中、何かを買いにいくのもいやだ。
 仕方がない。
 俺は、良く冷えたビールを飲むことにした。
 冷凍の枝豆をレンジでチンして、それをあてにビールを飲む。
うまい!
やはり、夏はこれに勝るものはない。



 (あ、そうだ…)



 高校野球があったことを思い出し、チャンネルを変えた。
なんと、今日は俺の地元の高校の試合だった。
 高校野球に夢中になりながら、俺は何本もビールを飲み干した。



 残念ながら、地元の高校は負けた。



 (……ん?)



 届いたLINEは妻からのものだった。
 今、駅に着いたから、もうすぐ帰ると書いてあった。



なに!?



 時計を見たら、もう4時近くになっていた。
どうしよう…?
 襖の張替えは全く手付かずだ。
これは困った。
 妻はきっと激怒するぞ…
なんとかしなくては!
しかし、時間がない。
どうすれば良い?どうすれば…



弱り切った俺の思考回路は、誤作動を起こした。



 『暑中お見舞い申し上げます。』



 俺は襖に太いマジックでそう書いた。
 暑い所から帰って来る妻への、せめてものメッセージ…いや、単なるやけくそだ。



やばい!こんなのを見たら、妻はきっとさらに激怒する。
 書いた後で気付いて深く後悔した。



その時、突然、ばらばらという激しい雨音が耳に届いた。
サッシの外は、バケツをひっくり返したような土砂降りだ。



それから約五分後…
ずぶ濡れになった妻と子供たちが帰って来た。



テーブルの上の空き缶の山と、俺の書いた襖の暑中見舞いを見て、妻の雷がさく裂した。

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