1ページ劇場②

ルカ(聖夜月ルカ)

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彼岸の花

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「ママ、とっても綺麗なお花だね。」

 「本当に綺麗ね。
さぁ、ここにきて…こうするのよ。」

 私は曼殊沙華の前にしゃがみ、両手を合わせ、幼い娘にも同じようにさせた。



 (どうぞ、安らかに…)

 今は亡きあの人のため、心の中で呟いた。



 ***



 「お願いです!僕と結婚して下さい!」

 「最初に言ったはずですわ。
 私は、あなたと結婚はしない、と…」

 「あなたは、遊びだったということですか!」

 「いいえ、あなたの容姿はとても好きですし、知能的にも性格的にも良い方だと思います。
だからこそ、あなたの種が欲しいと思ったんです。」

 「そんな…」



どんなに言って聞かせても、あなたは、私に執拗に結婚を迫った。
 私のことがそれほど好きだったのか、それとも私の持っているものに目が眩んだのかはわからないけど、どちらにしてもそれは私にとって不都合なことだった。



だから…私はあなたを殺した。
 私だってそんなことはしたくなかったけれど、あなたはそれほどにしつこかったのだもの…



でも、私はあなたのことが嫌いだったわけじゃない。
だから、こうやってあなたのまわりにたくさんの曼殊沙華を植えたのよ。
 曼殊沙華を植えてたら、あなたの遺体はもぐらやねずみから守られるから…



(見て…この子、年々、あなたに似て来るわ。
ね?とても可愛いでしょう?
 知能指数もすごく高いのよ。)



 夫なんていらない。
 煩わしいだけだもの。
 私には、親の遺してくれたこの広すぎる屋敷と莫大な財産がある。
ただ、子供だけが欲しかった。
あなたは、私のその願いを叶えてくれるだけで良かったのに…
もちろん、謝礼だってあげるつもりだったし、もう一人、男の子もほしかったのに…本当に残念だわ。



あの人の命日は忘れてしまったけれど、庭の片隅にこの赤い花が咲くおかげで、お彼岸だけは忘れない。
 年に一度だけ、あの人のことを思い出させてくれる。



 来年も…そして、また次の年も…
この赤い花が咲く限り、私はあの人を思い出すだろう…



「じゃあ、行こっか。」

 「うん。」



 曼殊沙華の花が、ゆらゆらと風に揺れた…



~fin. 
 
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