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親友
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「う~…今日はなんだか特別寒いね。」
隣を歩く美香が、そう言ってコートの襟を立てた。
「そう?私はそうでもないかなぁ?」
あの日…5年ぶりに再会した彼と、次の日また会った時…
彼が、クリスマスプレゼントって言ってくれたのが、このスヌードだ。
素材が良いからだけじゃなく、きっとこれには彼の想いも詰まってる…だから、こんなに温かいんだと思う。
「あ、やっぱりけっこう混んでるね。」
「……だよね。まぁ、良いじゃない。
並んでないだけマシだよ。」
今日は大晦日。
一人で過ごすのはやっぱり寂しいから、私は美香と一緒に新年を迎えることにした。
確か、美香とお正月を迎えるのは、今年で三回目だ。
私たちがまず向かったのは、お蕎麦屋さん。
そう、年越しそばを食べるためだ。
ただのゲン担ぎだとは思うけど、意外と私も美香もそういう行事は外さない。
「ねぇねぇ、例の彼とはうまくいきそう?」
席に着くなり、美香が訊ねる。
「うん…今のところはすごくうまくいってる。」
「そっか…でも、遠距離だからね。
出来るだけコミュニケーション取った方がいいよ。」
「そうだよね。電話やLINEは毎日やってるけどね。」
「おぉ~…それはまたお熱いことで…」
彼とは、初めての遠距離恋愛だ。
だから、心配なこともいろいろある。
でも、あんな奇跡的な出会いをした彼だもん。
きっと、うまくいくって信じてる。
「お待たせしました!」
すぐにそばが運ばれて来た。
「だしの香りが良いね。」
「そういえば、私、蕎麦食べるの久しぶりかも…」
「あ、私も……!」
私はふと思い出した。
確か、昨年も似たようなことを話した、と。
「ん?何?…思い出し笑いなんかして…」
「ううん、なんでもないよ。」
「わかってるって!
愛しの彼のこと、思い出したんでしょ。」
「違うってば。」
思い出したのは美香のことなのに、美香は彼のことだと思ってる。
本当に思い込みが激しいんだから…
「あ…また笑ってる!」
「良いじゃない。」
行き交う人々は忙しなく動いてるけど、私たちにとっては穏やかな大晦日…
やっぱり、美香っていいな…そんなことを思いながら、私は蕎麦をすすった。
隣を歩く美香が、そう言ってコートの襟を立てた。
「そう?私はそうでもないかなぁ?」
あの日…5年ぶりに再会した彼と、次の日また会った時…
彼が、クリスマスプレゼントって言ってくれたのが、このスヌードだ。
素材が良いからだけじゃなく、きっとこれには彼の想いも詰まってる…だから、こんなに温かいんだと思う。
「あ、やっぱりけっこう混んでるね。」
「……だよね。まぁ、良いじゃない。
並んでないだけマシだよ。」
今日は大晦日。
一人で過ごすのはやっぱり寂しいから、私は美香と一緒に新年を迎えることにした。
確か、美香とお正月を迎えるのは、今年で三回目だ。
私たちがまず向かったのは、お蕎麦屋さん。
そう、年越しそばを食べるためだ。
ただのゲン担ぎだとは思うけど、意外と私も美香もそういう行事は外さない。
「ねぇねぇ、例の彼とはうまくいきそう?」
席に着くなり、美香が訊ねる。
「うん…今のところはすごくうまくいってる。」
「そっか…でも、遠距離だからね。
出来るだけコミュニケーション取った方がいいよ。」
「そうだよね。電話やLINEは毎日やってるけどね。」
「おぉ~…それはまたお熱いことで…」
彼とは、初めての遠距離恋愛だ。
だから、心配なこともいろいろある。
でも、あんな奇跡的な出会いをした彼だもん。
きっと、うまくいくって信じてる。
「お待たせしました!」
すぐにそばが運ばれて来た。
「だしの香りが良いね。」
「そういえば、私、蕎麦食べるの久しぶりかも…」
「あ、私も……!」
私はふと思い出した。
確か、昨年も似たようなことを話した、と。
「ん?何?…思い出し笑いなんかして…」
「ううん、なんでもないよ。」
「わかってるって!
愛しの彼のこと、思い出したんでしょ。」
「違うってば。」
思い出したのは美香のことなのに、美香は彼のことだと思ってる。
本当に思い込みが激しいんだから…
「あ…また笑ってる!」
「良いじゃない。」
行き交う人々は忙しなく動いてるけど、私たちにとっては穏やかな大晦日…
やっぱり、美香っていいな…そんなことを思いながら、私は蕎麦をすすった。
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