1ページ劇場④

ルカ(聖夜月ルカ)

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親友

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「う~…今日はなんだか特別寒いね。」

 隣を歩く美香が、そう言ってコートの襟を立てた。



 「そう?私はそうでもないかなぁ?」

あの日…5年ぶりに再会した彼と、次の日また会った時…
彼が、クリスマスプレゼントって言ってくれたのが、このスヌードだ。
 素材が良いからだけじゃなく、きっとこれには彼の想いも詰まってる…だから、こんなに温かいんだと思う。



 「あ、やっぱりけっこう混んでるね。」

 「……だよね。まぁ、良いじゃない。
 並んでないだけマシだよ。」

 今日は大晦日。
 一人で過ごすのはやっぱり寂しいから、私は美香と一緒に新年を迎えることにした。
 確か、美香とお正月を迎えるのは、今年で三回目だ。
 私たちがまず向かったのは、お蕎麦屋さん。
そう、年越しそばを食べるためだ。
ただのゲン担ぎだとは思うけど、意外と私も美香もそういう行事は外さない。



 「ねぇねぇ、例の彼とはうまくいきそう?」

 席に着くなり、美香が訊ねる。



 「うん…今のところはすごくうまくいってる。」

 「そっか…でも、遠距離だからね。
 出来るだけコミュニケーション取った方がいいよ。」

 「そうだよね。電話やLINEは毎日やってるけどね。」

 「おぉ~…それはまたお熱いことで…」

 彼とは、初めての遠距離恋愛だ。
だから、心配なこともいろいろある。
でも、あんな奇跡的な出会いをした彼だもん。
きっと、うまくいくって信じてる。



 「お待たせしました!」

すぐにそばが運ばれて来た。



 「だしの香りが良いね。」

 「そういえば、私、蕎麦食べるの久しぶりかも…」

 「あ、私も……!」

 私はふと思い出した。
 確か、昨年も似たようなことを話した、と。



 「ん?何?…思い出し笑いなんかして…」

 「ううん、なんでもないよ。」

 「わかってるって!
 愛しの彼のこと、思い出したんでしょ。」

 「違うってば。」

 思い出したのは美香のことなのに、美香は彼のことだと思ってる。
 本当に思い込みが激しいんだから…



「あ…また笑ってる!」

 「良いじゃない。」

 行き交う人々は忙しなく動いてるけど、私たちにとっては穏やかな大晦日…
やっぱり、美香っていいな…そんなことを思いながら、私は蕎麦をすすった。

 
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