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思い出2
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大川さんの依頼以降、4日までは仕事が入っていない。
ずっと家にいるのもなんだと思い、俺は散歩に出ることにした。
吹きすさぶ風のせいか、思ったよりもずっと寒かった。
こんな日に出て来ることはなかったかと後悔し始めた時、遠くの空に何かが浮かんでいるのを発見した。
(懐かしいなぁ…)
大きな目玉のそれは、俺が子供の頃にハマったゲイラカイトだった。
今でもあるのか…
というよりも、最近は凧揚げをするような空き地もないせいか、凧を見ること自体があまりなかったから、俺は立ち止まって風になびく凧を見上げていた。
こういう風のきつい日は、凧も良くあがる…
(たこ……)
ふと連想された記憶に、俺の頬は俄かに綻ぶ。
あれはまだ俺が、紫織と付き合い始めた時のこと…ちょうど今時分の頃だ。
俺は、初めて紫織の家を訪ねた。
手料理を振舞うと言われて、俺は浮かれていた。
そうだ…俺は柄にもなく、花束なんか持って行ったんだ。
「ほら、見て。
アパートにしてはけっこう広いでしょ?
台所が広いからここに決めたの。」
「そうだね。確かに広い。」
6畳くらいだろうか?
明るく整理整頓された台所には、小さな二人掛けの椅子とテーブルがあった。
紫織は、料理が趣味だと言っていた。
料理をすると、ストレスがなくなるんだ、と。
「あれ?変わったまな板だね。」
「あぁ、これ…羽子板っていうのよ。」
「えっ!?羽子板?」
「これで羽根つきをするわけじゃないわよ。」
そう言って、あいつは笑った。
「じゃあ、出来上がるまでテレビでも見てて。」
俺は言われた通り、テレビの前に腰を下ろし、ゆっくりと部屋の中を見渡した。
部屋はとても綺麗に片付いていて、ほこりひとつなかった。
何に対しても本当に完璧な奴だ。
*
「お待たせ。」
しばらくすると、テーブルの上は食べ切れないほどの料理で埋め尽くされた。
「すごいな。」
「ちょっと頑張りすぎたかしら?
あ、これ、熱いうちに食べて。」
「これって、たこ?」
「うん、マサ、たこが好きだったよね?
それに新年だから、たこ揚げ…なんてね。」
つまらないダジャレを言って、紫織ははにかむ。
ふと気が付くと、いつの間にか凧の姿は消えていた。
(馬鹿馬鹿しい…)
過去のことをこんなにも鮮明に記憶している自分自身がどうにも照れ臭く…
俺は、俯きながら家路についた。
ずっと家にいるのもなんだと思い、俺は散歩に出ることにした。
吹きすさぶ風のせいか、思ったよりもずっと寒かった。
こんな日に出て来ることはなかったかと後悔し始めた時、遠くの空に何かが浮かんでいるのを発見した。
(懐かしいなぁ…)
大きな目玉のそれは、俺が子供の頃にハマったゲイラカイトだった。
今でもあるのか…
というよりも、最近は凧揚げをするような空き地もないせいか、凧を見ること自体があまりなかったから、俺は立ち止まって風になびく凧を見上げていた。
こういう風のきつい日は、凧も良くあがる…
(たこ……)
ふと連想された記憶に、俺の頬は俄かに綻ぶ。
あれはまだ俺が、紫織と付き合い始めた時のこと…ちょうど今時分の頃だ。
俺は、初めて紫織の家を訪ねた。
手料理を振舞うと言われて、俺は浮かれていた。
そうだ…俺は柄にもなく、花束なんか持って行ったんだ。
「ほら、見て。
アパートにしてはけっこう広いでしょ?
台所が広いからここに決めたの。」
「そうだね。確かに広い。」
6畳くらいだろうか?
明るく整理整頓された台所には、小さな二人掛けの椅子とテーブルがあった。
紫織は、料理が趣味だと言っていた。
料理をすると、ストレスがなくなるんだ、と。
「あれ?変わったまな板だね。」
「あぁ、これ…羽子板っていうのよ。」
「えっ!?羽子板?」
「これで羽根つきをするわけじゃないわよ。」
そう言って、あいつは笑った。
「じゃあ、出来上がるまでテレビでも見てて。」
俺は言われた通り、テレビの前に腰を下ろし、ゆっくりと部屋の中を見渡した。
部屋はとても綺麗に片付いていて、ほこりひとつなかった。
何に対しても本当に完璧な奴だ。
*
「お待たせ。」
しばらくすると、テーブルの上は食べ切れないほどの料理で埋め尽くされた。
「すごいな。」
「ちょっと頑張りすぎたかしら?
あ、これ、熱いうちに食べて。」
「これって、たこ?」
「うん、マサ、たこが好きだったよね?
それに新年だから、たこ揚げ…なんてね。」
つまらないダジャレを言って、紫織ははにかむ。
ふと気が付くと、いつの間にか凧の姿は消えていた。
(馬鹿馬鹿しい…)
過去のことをこんなにも鮮明に記憶している自分自身がどうにも照れ臭く…
俺は、俯きながら家路についた。
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