天使からの贈り物・衝動

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
12 / 17
衝動

12

しおりを挟む
ジュリアンはもう一度さっきの男に話を聞こうと、ドアを開け宿に入った。
しかし、宿屋の一階にはあの男はおろか、誰もいなかった。



(…そんな…!
ついさっきまであんなにたくさんの人がいたのに…)



ジュリアンの思考が混乱する中、下働きらしい女が箒を持って入ってきた。



「あ、あの…」

「お泊まりですか?」

「…いや、そうじゃないんだ…
おかしなことを聞くようだが…最近、変わったことはなかったか?」

「変わったこと…ですか?
特にはなかったと思いますが…」

「ここの孫は元気にしてるかい?」

「サミュエルですか?
ええ、元気ですよ。
ついさっき、女将さんと市場へでかけたと思いますが、サミュエルに何か…?」

「…い、いや…なんでもないんだ…」



(どうなってるんだ?)

ジュリアンにはまるでわけがわからなかった。
再び宿の外に出ると、ジュリアンはエレスに詰め寄った。



「おい!てめぇ!
説明しろ!一体、何がどうなっていやがる!」

『落ち着け!
こんな所を見られたらおかしな奴だと思われるぞ。』

「そんなこと構うもんか!
それよりちゃんと説明しやがれってんだ!
死んだはずのぼうずはピンピンしてるし、宿屋にいた奴らは突然いなくなってる…これは一体どういうことなんだ?!」

『どうもこうもない。
今はこういう状態なだけだ。』

「あ~~~っっ!イライラするっっ!
いつもいつもわけのわからないことばかりいいやがって!
もっとわかりやすく言えっ!」

『わからないか?
…つまりだな。今はまだ何も起こってはいないということだ。』

「今はまだ…?」

『そうだ。なぜなら、今はあの時より過去の時間だからだ。』

「はぁ??
おまえ、何を言ってるんだ?」

ジュリアンにはエレスの言っていることがわからず、ただ混乱するばかりだった。



『…本当におまえは手間のかかる男だな。
こんなことなら、おまえにスペシャルな贈り物などやらなければ良かった…』

「スペシャルな贈り物って…『時間』だったよな。
……じゃ、なにか?!その贈り物のおかげで時間が過去に戻ったっていうのか?」

『そうではないな。
時間はそのままだが、おまえが過去に戻ったということだな。』

「な、何?なんだって?」

『もう良い。おまえには難しすぎる。』

「な、なんだと~!
おまえ、俺を馬鹿にしてやがるな!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【完結短編】ある公爵令嬢の結婚前日

のま
ファンタジー
クラリスはもうすぐ結婚式を控えた公爵令嬢。 ある日から人生が変わっていったことを思い出しながら自宅での最後のお茶会を楽しむ。

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。

猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で―― 私の願いは一瞬にして踏みにじられました。 母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、 婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。 「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」 まさか――あの優しい彼が? そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。 子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。 でも、私には、味方など誰もいませんでした。 ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。 白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。 「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」 やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。 それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、 冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。 没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。 これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。 ※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ ※わんこが繋ぐ恋物語です ※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ

真実の愛には敵いませんもの

あんど もあ
ファンタジー
縁談の相手に「自分には真実の愛の相手がいる」と言われて破談になってしまった私。友人達に聞いてもらって笑い飛ばしてもらいましょう!、と思ったのですが、話は予想外に広まってしまい……。

令嬢失格な私なので

あんど もあ
ファンタジー
貴族の令息令嬢が学ぶ王都学園。 そこのカースト最下位と思われている寮生の中でも、最も令嬢らしからぬディアナ。 しかしその正体は……。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

初恋の終わりは

あんど もあ
ファンタジー
おてんばで無邪気な少女と婚約した、第一王子の私。だが十年後、彼女は無表情な淑女となっていた。その事に耐えられなくなって婚約解消したのだが、彼女は「これからは、好きな物は好きだと突き進ませていただきます!」と言わんばかりに豹変! そんな彼女と反対に、私には問題が降りかかり……。

処理中です...