10 / 92
第2章…side ブルー
1
しおりを挟む
私はまたいつものように、空腹を抱え、たいした路銀も持たないまま、新たな町へ移った。
いつもと変わらない小さな田舎町なのだが、その町には不似合いな程の人々で溢れかえり、町は異常な程に活気付いていた。
「今日は、ここで何かあるのか?」
私は一人の男に声をかけた。
「なんだ、あんた、知らずに来たのか?
今夜は、エスポワール一座のショーがあるんだよ。」
「エスポワール一座?」
なんでも、そのエスポワール一座なるものはとても人気があるらしく、中でも踊り子のレティシアは踊りがうまいだけではなく大変な美貌の持ち主で、レティシアを目当ての男性客を中心にいつも小屋は満員だということだった。
私も歌や踊りは嫌いな方ではない。
いや、正直言うとそういうものを深く愛していたのだが、人間のものなど高が知れている。
わざわざ見に行く程のこともないだろう。
この乏しい財布の中身を考えると、私には見物料さえもったいなく思える。
しかし、私はそこでハタと思いあたった。
そうだ!
その一座で働かせてもらえば、あちこちの町に行くことが出来るのではあるまいか?
町に着く度に仕事を探し回る手間がはぶけるのではないか、と。
それに、一座が来ればたくさんの人々がそのショーを見に来る。
私の片割れが見に来る可能性も高いのではないだろうか?
見に来なかったとしても、人が集まる場所は情報を聞きこむのにはもってこいの環境だ。
そう考えた私は早速一座の元へと急いだ。
夜のショーに備え、舞台裏では大勢の人々が慌ただしく作業をしていた。
「何?ここで働きたいだと?
見た目は悪くないが……おまえ、何が出来るんだ?」
座長と呼ばれる男は、不精髭を生やした恰幅の良い中年男だった。
「何がといわれても…
大工作業はしたことはないが、教えてもらえればやれると思う。
それに、簡単な料理も出来る。」
「なんだ?おまえ、下働きがしたいのか?
……残念だが下働きなら間に合ってるよ。」
「そこをなんとか頼む!
力仕事でもなんでもやる!」
「だめだ、だめだ!
力仕事ならおまえみたいに生っ白い奴より、もっとがたいの良い奴を選ぶよ。」
座長は私に向かい、まるで犬でも追い払うかのような手振りをした。
いつもと変わらない小さな田舎町なのだが、その町には不似合いな程の人々で溢れかえり、町は異常な程に活気付いていた。
「今日は、ここで何かあるのか?」
私は一人の男に声をかけた。
「なんだ、あんた、知らずに来たのか?
今夜は、エスポワール一座のショーがあるんだよ。」
「エスポワール一座?」
なんでも、そのエスポワール一座なるものはとても人気があるらしく、中でも踊り子のレティシアは踊りがうまいだけではなく大変な美貌の持ち主で、レティシアを目当ての男性客を中心にいつも小屋は満員だということだった。
私も歌や踊りは嫌いな方ではない。
いや、正直言うとそういうものを深く愛していたのだが、人間のものなど高が知れている。
わざわざ見に行く程のこともないだろう。
この乏しい財布の中身を考えると、私には見物料さえもったいなく思える。
しかし、私はそこでハタと思いあたった。
そうだ!
その一座で働かせてもらえば、あちこちの町に行くことが出来るのではあるまいか?
町に着く度に仕事を探し回る手間がはぶけるのではないか、と。
それに、一座が来ればたくさんの人々がそのショーを見に来る。
私の片割れが見に来る可能性も高いのではないだろうか?
見に来なかったとしても、人が集まる場所は情報を聞きこむのにはもってこいの環境だ。
そう考えた私は早速一座の元へと急いだ。
夜のショーに備え、舞台裏では大勢の人々が慌ただしく作業をしていた。
「何?ここで働きたいだと?
見た目は悪くないが……おまえ、何が出来るんだ?」
座長と呼ばれる男は、不精髭を生やした恰幅の良い中年男だった。
「何がといわれても…
大工作業はしたことはないが、教えてもらえればやれると思う。
それに、簡単な料理も出来る。」
「なんだ?おまえ、下働きがしたいのか?
……残念だが下働きなら間に合ってるよ。」
「そこをなんとか頼む!
力仕事でもなんでもやる!」
「だめだ、だめだ!
力仕事ならおまえみたいに生っ白い奴より、もっとがたいの良い奴を選ぶよ。」
座長は私に向かい、まるで犬でも追い払うかのような手振りをした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる