42 / 92
第5章…side ノワール
6
しおりを挟む
「な…なんと素晴らしい!
私は今までにあなたほどの歌い手にめぐりあったことはありません。
心の底から感動しました!
あなたはお祖父さんの才能をそのまま受け継がれたのですね!
そうだ!近々、うちでパーティがあるのですが、ぜひそこで一曲歌っていただけませんか?」
「いえ…そんなたいしたものではありませんから…」
「そんなことをおっしゃらずに…どうか、お願いします!
そういえば、ノワールさん、今夜はどちらにお泊まりですか?」
「実はまだここへは着いたばかりで宿を取っていないのです。」
「そうですか!では、ぜひここへお泊まり下さい。」
泊めてもらえるのはありがたかった。
船を売った金はほとんど乗組員に支払ってしまっていたし、手許にはもうそれほどの金は残っていなかったのだ。
私はこれ幸いにしばらくここで世話になることに決めた。
歌を歌うだけですむのなら安いものだ。
*
やがて瞬く間に数日が経ち、パーティの夜がやってきた。
パーティというものはいつも退屈だ。
着飾った女性達は、私にくだらない話をしかけてくる。
それに対し、作り笑顔で返事をするのはけっこう疲れることなのだが、この中に後々役に立ってくれる女がいるかもしれないと考えるとそう邪険にも出来なかった。
「皆様、ここで私の素晴らしき友人・ノワール氏に一曲披露していただこうと思います!」
客達の視線が一斉に私に注がれ、拍手がわきあがった。
私は、一礼し大きく息を吸いこむと歌いなれた曲を歌い始めた。
一瞬にしてその場は静まり返り、客達は私の歌に聴き惚れているようだった。
女性たちはとろけそうな眼差しで私のことをみつめる…
私はその中でも特別に熱い視線を感じた。
しかし、奇妙なことにその視線の先は女性ではなく男性だった。
体格が良く特別な存在感を醸し出す、どこか不気味な雰囲気のする美しい男だ。
「エルマンさん、あの方は…」
妙に気をひかれた私は、エルマンにその男のことを尋ねた。
「ノワールさん、あの方には関わってはなりません。」
「なぜなのです?」
「彼は、ジェロームといって莫大な資産を持つ人物ですが…危険な噂のある方なのです。」
「危険…と、申しますと…?」
「彼は魔術のようなものに傾倒しているとか魔界と通じているという噂がありまして…
なにやらあやしいものを集めているとか、魔法を使うことが出来るとか…
それに、彼は……」
「まだ何かあるのですか?」
「いえ…なんでもありません。
……それにしても、招待した覚えもないのになぜ彼がここに……」
私は今までにあなたほどの歌い手にめぐりあったことはありません。
心の底から感動しました!
あなたはお祖父さんの才能をそのまま受け継がれたのですね!
そうだ!近々、うちでパーティがあるのですが、ぜひそこで一曲歌っていただけませんか?」
「いえ…そんなたいしたものではありませんから…」
「そんなことをおっしゃらずに…どうか、お願いします!
そういえば、ノワールさん、今夜はどちらにお泊まりですか?」
「実はまだここへは着いたばかりで宿を取っていないのです。」
「そうですか!では、ぜひここへお泊まり下さい。」
泊めてもらえるのはありがたかった。
船を売った金はほとんど乗組員に支払ってしまっていたし、手許にはもうそれほどの金は残っていなかったのだ。
私はこれ幸いにしばらくここで世話になることに決めた。
歌を歌うだけですむのなら安いものだ。
*
やがて瞬く間に数日が経ち、パーティの夜がやってきた。
パーティというものはいつも退屈だ。
着飾った女性達は、私にくだらない話をしかけてくる。
それに対し、作り笑顔で返事をするのはけっこう疲れることなのだが、この中に後々役に立ってくれる女がいるかもしれないと考えるとそう邪険にも出来なかった。
「皆様、ここで私の素晴らしき友人・ノワール氏に一曲披露していただこうと思います!」
客達の視線が一斉に私に注がれ、拍手がわきあがった。
私は、一礼し大きく息を吸いこむと歌いなれた曲を歌い始めた。
一瞬にしてその場は静まり返り、客達は私の歌に聴き惚れているようだった。
女性たちはとろけそうな眼差しで私のことをみつめる…
私はその中でも特別に熱い視線を感じた。
しかし、奇妙なことにその視線の先は女性ではなく男性だった。
体格が良く特別な存在感を醸し出す、どこか不気味な雰囲気のする美しい男だ。
「エルマンさん、あの方は…」
妙に気をひかれた私は、エルマンにその男のことを尋ねた。
「ノワールさん、あの方には関わってはなりません。」
「なぜなのです?」
「彼は、ジェロームといって莫大な資産を持つ人物ですが…危険な噂のある方なのです。」
「危険…と、申しますと…?」
「彼は魔術のようなものに傾倒しているとか魔界と通じているという噂がありまして…
なにやらあやしいものを集めているとか、魔法を使うことが出来るとか…
それに、彼は……」
「まだ何かあるのですか?」
「いえ…なんでもありません。
……それにしても、招待した覚えもないのになぜ彼がここに……」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる