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第6章…side ブルー
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その町は、今までの田舎町とは少し違い人口の多い賑やかな町だった。
こういう所なら、仕事もあるだろうし身も隠しやすいことだろう。
私はしばらくこの町に滞在することにした。
とはいえ、一体どんな仕事に就くべきか…
レティシアや一座の者が追ってこないとも限らないのだ。
なるべくなら目立ちたくはない。
そんなことを考えながら、私はふと目についた一軒のバーに足を踏み入れた。
酒は相変わらずあまり好きにはなれなかったが、とにかくどこかに座って少し考え事をしたかったのだ。
なんとなくひかれて入ったその店は、酒場特有の喧騒がまったく感じられず、数人いる客も押し黙ってグラスを傾けている…
時折聞こえてくるのは、グラスに氷のあたる軽やかな音とマスターが振るシェイカーの音くらいなものだった。
私はワインを注文すると、壁の隅に「バーテン募集」の小さな貼り紙をみつけた。
それを見つけた途端、私はこの店の主人らしき男にそのことを尋ねてみた。
「あなたが、この店に来て下さるのですか…?
それは助かりますが…それで、あなたはバーテン歴はどのくらいで…?」
「あ……」
私も馬鹿なことを考えたものだ。
よく考えれば、私はカクテルの一つも作れないどころか、酒の知識さえろくにないのだ。
「申し訳ありません…
まったく馬鹿なことを言ってしまいました。」
「……仕事を探してらっしゃるのですね?」
「ええ、そうなのです。
この店の雰囲気が気に入ってしまった所へあの貼り紙をみつけてしまったもので、つい…」
「そうでしたか…
……それで、あなたのお名前は?」
「ブルーです。」
「では、ブルーさん、明日からこの店に来て下さい。
それと、住む所はもう決まってますか?」
「え…??
この町にはつい先程着いたばかりなので、住む所はまだ決まってません。
それに、私は実は酒のことはほとんど何も…」
「では、この店の奥の部屋を使って下さい。
あまり広くはありませんが、一人で住むには問題ないと思いますよ。
明日から、勉強がてら店を手伝っていただきましょう。」
「本当に良いのですか?」
男は微笑みながら頷き、壁の「バーテン募集」の貼り紙を破り捨てた。
こういう所なら、仕事もあるだろうし身も隠しやすいことだろう。
私はしばらくこの町に滞在することにした。
とはいえ、一体どんな仕事に就くべきか…
レティシアや一座の者が追ってこないとも限らないのだ。
なるべくなら目立ちたくはない。
そんなことを考えながら、私はふと目についた一軒のバーに足を踏み入れた。
酒は相変わらずあまり好きにはなれなかったが、とにかくどこかに座って少し考え事をしたかったのだ。
なんとなくひかれて入ったその店は、酒場特有の喧騒がまったく感じられず、数人いる客も押し黙ってグラスを傾けている…
時折聞こえてくるのは、グラスに氷のあたる軽やかな音とマスターが振るシェイカーの音くらいなものだった。
私はワインを注文すると、壁の隅に「バーテン募集」の小さな貼り紙をみつけた。
それを見つけた途端、私はこの店の主人らしき男にそのことを尋ねてみた。
「あなたが、この店に来て下さるのですか…?
それは助かりますが…それで、あなたはバーテン歴はどのくらいで…?」
「あ……」
私も馬鹿なことを考えたものだ。
よく考えれば、私はカクテルの一つも作れないどころか、酒の知識さえろくにないのだ。
「申し訳ありません…
まったく馬鹿なことを言ってしまいました。」
「……仕事を探してらっしゃるのですね?」
「ええ、そうなのです。
この店の雰囲気が気に入ってしまった所へあの貼り紙をみつけてしまったもので、つい…」
「そうでしたか…
……それで、あなたのお名前は?」
「ブルーです。」
「では、ブルーさん、明日からこの店に来て下さい。
それと、住む所はもう決まってますか?」
「え…??
この町にはつい先程着いたばかりなので、住む所はまだ決まってません。
それに、私は実は酒のことはほとんど何も…」
「では、この店の奥の部屋を使って下さい。
あまり広くはありませんが、一人で住むには問題ないと思いますよ。
明日から、勉強がてら店を手伝っていただきましょう。」
「本当に良いのですか?」
男は微笑みながら頷き、壁の「バーテン募集」の貼り紙を破り捨てた。
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