上 下
18 / 34
切手(てんびん座)

しおりを挟む
(きゃあ~~~!)



私は送られて来た郵便物を開けて、つい小躍りしてしまった。
私の手の中にあるのは、世界でここだけにしかない私のオリジナル切手。
私の顔が切手になってるなんて、なんだか嬉し過ぎる!

自分の顔を切手にするなんて、どんだけナルシストなんだって話だけど、この画像はいわゆる「奇蹟の一枚」
自分でも信じられないくらいに可愛く撮れたんだもの。
まさに、詐欺写!
あまりに嬉しくて引き伸ばしてプリントしたり、はがきや卓上カレンダーを作ったりしてるうちに、自分のオリジナルの切手なんてものを作ってもらえるサービスがあるって知った。
しかも、費用もそんなに高くない。
私は、思わず調子に乗って、80円切手と50円切手を10シートずつオーダーしてしまい、その出来映えにも十分満足ではあったのだけど、冷静になった時にはたと気付く事があった。



そう…私は、ここ数年、手紙らしい手紙なんて出してないってことに…
年賀状すら出してない。



(はぁ…私って馬鹿だなぁ…
一体、どうすんのよ、この切手…)



ちょっとばかし凹んだ私だったけど、すぐに思い直した。



(だったら、出せば良いだけのこと!
……うん、そうしよう!)



私は、一人暮らしの友人にはがきをだすことを決めた。
っていうのも、さすがに家族と同居の子だと、家族に見られるからはずかしい。
私にも一応羞恥心ってものはあるのだから。
私は頭の中で出す相手を考え、五人を選び出した。









「出来た!」

はがきの裏には全身の私の画像。
表には、私の顔の切手を貼り、宛名の下の少ないスペースに、は皆、同様に
「別人に
見える私が
愛おしい」
という、しょーもない川柳と、あとはごく短いコメントを個別に書いた。

これはきっとウケる!
友達の反応を楽しみにしながら、私は次の日、五枚のはがきを投函した。 
 
しおりを挟む

処理中です...