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7、透輝石(正しい判断)ダイオプサイト

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 「あいたた…」

サリーが背中を伸ばして顔をしかめた。



 「固いベッドのせいで、背中や腰が痛いよ。
それになんだかあちこちかゆいんだよ。」

 「その割りにはよく眠っていたようだが…」

 「寝てないよ!何度も目が覚めたんだから!」

 固いベッドのせいで身体が痛かろうが、虫に刺されてかゆかろうが、サリーは相変わらず朝から威勢が良い。
 私達は持ってきた食料をテーブルに並べ、軽い朝食を済ませた。



 「フィリップ、今日こそは教えてくれるんだろうね!」

 「……あぁ…
実はこのあたりに大昔に埋めたものがあるのさ。
 一番大きな木の根元に埋めたつもりだったんだが、どの木なんだか皆目わかりゃしねぇ…」

 確かに、周辺にはずいぶんとたくさんの木が生えていたが、どれも似たような大きさで「一番大きい木」がどれなのかは、まるでわからなかった。



 「手分けして掘りましょう。」

 「手伝ってくれるのかい?」

 「もちろんです。
あなたのおかげでここに来られたんですから、そのくらいのこと、当たり前ですよ。」

 幸いここにはたくさんのツルハシやスコップがあった。



 「何を探せば良いのですか?」

 「このくらいの木の箱なんだ。」

フィリップは両手で箱の大きさを示した。



 「木箱ならスコップで掘った方が良さそうですね。
ツルハシをふるって壊してしまっては大変だ。」

 「あるかどうかわかんねぇんだけどな…
すまねぇな、こんなくだらないことに手間をかけさせてしまって…」

 「大丈夫だよ!あたし達、今は暇だから。
じゃ、あたしはあっちを掘るよ」

 「では、私はこちらを…」

 私達は手分けをして木の根元を中心に、フィリップの箱探しに取りかかった。
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