十五の石の物語

8、翡翠（幸運）ジェダイト

２４

「いよっ！お二人さん！
なんだかすっごくお似合いだねぇ！
ねぇねぇ、レヴもそう思うだろ？
そうだ！ジネット、ヴェールと結婚しなよ！
この人もまだ独身だからさ。」

 「えっ？！」

ジネットはサリーの言葉に凍りついたように立ちすくみ、その顔は今までに見たことのないような厳しいものに変わった。



 「私にはとても大切な方がいるのです。
 理由あってその方とは今は離れていますが、私の心にはその方以外、誰も入り込めないのです！」

そう言うとジネットはその場から駆け出していってしまった。

 残されたヴェールはとても落胆した顔をしていた。



 「ヴェール……」

 「大丈夫です。
 元々、叶う恋ではないという事はわかっていたのです。
 私は普通の人間ではないのですから。
ただ、こうして作物の世話をしたり話をするだけで、私は満足だったのです。」

 「……彼女は聡明な女性だ。
しかも、とても優しい…
君が普通の人間ではないということを知っても、きっとそのことでどうこう考える人ではないだろうが……ただ……」

ヴェールは私の言わんとしたことを察したらしく、ゆっくりと頷いた。



 「彼女にはもう心に決めた方がいるのです。
 私は、ジネットさんがその方と幸せになってくれることを祈ります。」

 「ヴェール…ごめんよ、あたし……その、ちょっとした冗談のつもりだったんだよ……」

 「サリーさんのせいではありませんよ。
 気にしないで下さい。」

そう言って穏やかに微笑むヴェールに、私の胸は痛んだ。