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12、黒蝶貝(美しい契り)ブラックマザーオブパール

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 「わぁ~~っ!!海だぁ!!」

 初めての海に、サリーは子供のようにはしゃぎまわる。
 砂浜を走り出したサリーの後をヴェールとジネットがゆっくりと歩いていた。



 「潮の香りって、こういうものだったんですね。
 私も、海を見たのは初めてなんですよ。」

 「私もです。
 湖と似たようなものだと思っていたのですが…
ずいぶんと違うので驚いてます。」

 「そうですわね。
 海は湖とは音も匂いも空気もすべて違いますわね。」

 「そう!
 私が言いたかったのはまさにそれです。」

 「ヴェール!ジネット!
こっちにおいでよ!」

 波打ち際でサリーが、二人に手招きをした。



 「海の水って確かしょっぱいんだよね?」

そういうとサリーは海水を両手で掬って口にした。



 「うぇ~っ!
 本当にしょっぱいや。
あんたらも飲んでみなよ。」

サリーの突拍子もない提案にヴェールとジネットは一瞬顔を見合わせたが、ヴェールが迷っている間にジネットは海水を掬って飲む。



 「うっ!…本当にしょっぱい…」

 「そうだろ!
こんなにしょっぱいなんて、海には一体どのくらいの塩が入ってるんだろうね!」

 「きっと、山一つ分ではとても足りない位ですわ。」

サリーとジネットが顔を見合わせて笑っている。
その珍しい光景にヴェールも思わず顔を綻ばせた。



 「ジネット、あっちに行ってみようよ!」

そういうとサリーとジネットは駆け出し、波打ち際で何かを拾い始めた。 
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