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13、薔薇輝石(結ぶ愛)ロードナイト

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「仕方ない…本人からそれとなく聞き出すしかないか…」

 「そうだな。
それしかないかもしれねぇな。
 役に立てずにすまなかったな。」

 「……そんなことないさ。
 昼食もご馳走になったしさ。
とにかく、あたしはこれから帰るよ。」

 「これからすぐにかい!?」

 驚くシャルロに、サリーは力強く頷いた。



 「まぁ、レヴのことも気になるしね……
また機会があったら寄らせてもらうよ。」

 「あぁ、俺ももしなにかわかれば連絡させてもらうよ。
あの魔石の事は俺も気になってるからな。」

 「ありがとよ!じゃ……
あ、ところで…あの人だけど…」

 席を立ったサリーの視線が、部屋の中の一点をみつめる。



 「あの人……?」

 「うん、あの写真の人…」

 「あぁ、あれか?
あれはな……あ!そうだ!」

シャルロが大きな声を上げたその時、店の方からシャルロを呼ぶ声が響いた。



 「あれ?誰か呼んでるよ。
お客さんじゃないかい?」

 「あの写真なんだが……」

 店の方から聞こえる声は、ますます感情的なものに変わっていく。



 「ほら!早く出てやらないと、えらく叫んでるよ!」

シャルロは小さく舌打ちをしながら店に出た。
 店では取り乱した女性がシャルロのことを待ち構え、何事かを必死になって訴えている。 
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