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「そう言うと思っていたぞ…
なんだかんだ言って、実は私達と離れたくないのだな。」

 「だ~れが!
 離れたくないんじゃなくて、危なっかしくて放っておけないだけさ。
あたしは面倒見の良い性格だからね!」

おどけるサリーに私は苦笑いを浮かべたが、ヴェールは少しも笑うことなく、私達に真剣な視線を向けた。



 「本当に……良いのですか…?」

 「良いも何も、私はもう一緒に行くと決めたのだ。」

 「そうそう!
あたしも決めた!」

 「レヴさん…サリーさん…
ありがとうございます…」


 小さな声で呟いたヴェールの肩が小刻に震えていた。

おそらくヴェールは、この危険な旅に私達を巻き込んではいけないと考えていたのだろう。
 私が彼を巻き込みたくないと考えていたのと同じように……
しかし、皮肉にも私はその彼のお陰で命を救われた。
そんなヴェールを一人で旅立たせることなど、出来るわけがない。



 「これからもよろしく頼んだぞ。」

 私はヴェールの両手を握り締めた。



 「あたしもね!」

そう言いながら、サリーはさらにその上に両手を重ねた。


 「……こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。」

 私達は顔を見合わせ、深く頷く。
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