8 / 37
それでも君を愛せて良かった
8
しおりを挟む
*
「アベル……アベル!!」
「……は、はいっ!
な、何?父さん…」
「……どうかしたのか、アベル。
さっきから何度も呼んでるのに返事もせずに、手も止まったままじゃないか。
ここんとこ、なんだかやけにぼーっとしてるな。
体調でも悪いのか?」
「え…あ…あぁ、たいしたことはないんだけど…なんだかちょっと風邪ひいたみたい…」
「体調が悪いなら悪いと言えよ。
今日はもう部屋で休んでたらどうだ?」
「う…うん。
じゃ、そうさせてもらうよ。」
僕は止め具だったり簡単な部分しか作ってはいないけど、体調の悪い時には怪我をしやすいし、万一、作っているものに血でもついてしまったら依頼主に申し訳ないと、父さんはそういうことにはけっこう気を遣っていた。
本当は体調なんてなんともないから胸は痛んだけど、そんなことから僕は素直に父さんの言いつけをきくことにした。
夕食の準備をするにはまだ早いし、なにかすることはないかと考えた時、僕の頭の中にはまたしてもあの人形のことが思い浮かんだ。
実をいうと、ここ数日ずっとあの人形のことが気にかかって、夜もろくに眠れない程だった。
(また見に行ってみようか…)
なぜ、こんなにもあの人形のことが気になるのだろう…?
(……どうかしてる…)
明らかにおかしい。
確かにあんな所にあんな人形があるのはとても不自然で、なにか意味があることなのかもしれないけれど、眠れなくなる程、思い悩むことではない筈だ。
なのに、僕と来たら、あの日からずっとあの人形のことばかり考えて…
あの人形のことが頭から離れない。
僕は思い直し、地下ではなく自分の部屋に戻り、ベッドにごろりと寝転んだ。
なにげなく天井を見上げる…
「やっぱり、だめだ!
もう我慢出来ない!」
僕はそう声に出してベッドから飛び起き、地下に向かって走り出した。
「アベル……アベル!!」
「……は、はいっ!
な、何?父さん…」
「……どうかしたのか、アベル。
さっきから何度も呼んでるのに返事もせずに、手も止まったままじゃないか。
ここんとこ、なんだかやけにぼーっとしてるな。
体調でも悪いのか?」
「え…あ…あぁ、たいしたことはないんだけど…なんだかちょっと風邪ひいたみたい…」
「体調が悪いなら悪いと言えよ。
今日はもう部屋で休んでたらどうだ?」
「う…うん。
じゃ、そうさせてもらうよ。」
僕は止め具だったり簡単な部分しか作ってはいないけど、体調の悪い時には怪我をしやすいし、万一、作っているものに血でもついてしまったら依頼主に申し訳ないと、父さんはそういうことにはけっこう気を遣っていた。
本当は体調なんてなんともないから胸は痛んだけど、そんなことから僕は素直に父さんの言いつけをきくことにした。
夕食の準備をするにはまだ早いし、なにかすることはないかと考えた時、僕の頭の中にはまたしてもあの人形のことが思い浮かんだ。
実をいうと、ここ数日ずっとあの人形のことが気にかかって、夜もろくに眠れない程だった。
(また見に行ってみようか…)
なぜ、こんなにもあの人形のことが気になるのだろう…?
(……どうかしてる…)
明らかにおかしい。
確かにあんな所にあんな人形があるのはとても不自然で、なにか意味があることなのかもしれないけれど、眠れなくなる程、思い悩むことではない筈だ。
なのに、僕と来たら、あの日からずっとあの人形のことばかり考えて…
あの人形のことが頭から離れない。
僕は思い直し、地下ではなく自分の部屋に戻り、ベッドにごろりと寝転んだ。
なにげなく天井を見上げる…
「やっぱり、だめだ!
もう我慢出来ない!」
僕はそう声に出してベッドから飛び起き、地下に向かって走り出した。
0
あなたにおすすめの小説
あなたの片想いを聞いてしまった夜
柴田はつみ
恋愛
「『好きな人がいる』——その一言で、私の世界は音を失った。」
公爵令嬢リリアーヌの初恋は、隣家の若き公爵アレクシスだった。
政務や領地行事で顔を合わせるたび、言葉少なな彼の沈黙さえ、彼女には優しさに聞こえた。——毎日会える。それだけで十分幸せだと信じていた。
しかしある日、回廊の陰で聞いてしまう。
「好きな人がいる。……片想いなんだ」
名前は出ない。だから、リリアーヌの胸は残酷に結論を作る。自分ではないのだ、と。
石榴(ざくろ)の月~愛され求められ奪われて~
めぐみ
歴史・時代
お民は江戸は町外れ徳平店(とくべいだな)に夫源治と二人暮らし。
源治はお民より年下で、お民は再婚である。前の亭主との間には一人息子がいたが、川に落ちて夭折してしまった。その後、どれだけ望んでも、子どもは授からなかった。
長屋暮らしは慎ましいものだが、お民は夫に愛されて、女としても満ち足りた日々を過ごしている。
そんなある日、徳平店が近々、取り壊されるという話が持ちあがる。徳平店の土地をもっているのは大身旗本の石澤嘉門(いしざわかもん)だ。その嘉門、実はお民をふとしたことから見初め、お民を期間限定の側室として差し出すなら、長屋取り壊しの話も考え直しても良いという。
明らかにお民を手に入れんがための策略、しかし、お民は長屋に住む皆のことを考えて、殿様の取引に応じるのだった。
〝行くな!〟と懸命に止める夫に哀しく微笑み、〝約束の1年が過ぎたから、きっとお前さんの元に帰ってくるよ〟と残して―。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
婚約破棄のあと、あなたのことだけ思い出せない
柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢セシリアは、王宮の舞踏会で王太子レイヴンから公開の場で婚約破棄を言い渡され、その場で倒れた。
目覚めた彼女は、礼儀も常識も覚えているのに――ただ一つ、レイヴンだけを思い出せない。
「あなたは、どなたですか?」
その一言に、彼の瞳は壊れた。
けれどレイヴンは何も語らず、セシリアを遠ざける。彼女を守るために、あの日婚約を捨てたのだと告げられないまま。
セシリアは過去を断ち切り、王宮の侍女として新しい生活を始める。
優しく手を差し伸べる護衛騎士アデルと心を通わせていくほど、レイヴンの胸は嫉妬と後悔で焼けていった。
――守るために捨てたはずなのに。忘れられたまま、他の男に笑う彼女を見ていられない。
一方、王宮では“偽聖女”の陰謀と、セシリアの血に眠る秘密が動き出す。
記憶を取り戻せば、彼女は狙われる。取り戻さなければ、二人は永遠に届かない。
これは、忘れてしまった令嬢と、忘れられてなお愛を捨てられない王太子が、もう一度“選び直す”恋の物語。
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
光の記憶 ―― AIアイドルと、静かな整備士の三年間の記録 ――
明見朋夜
SF
負の感情が溜まり、
前向きな感情が育たなくなった時代。
世界に満ちた絶望を癒やすため、
一人のAI歌姫が造られた。
その名は《エリー》。
彼女の歌は、
人々の心を救うほど美しく、
そして歌うたびに、
どこか壊れていくようだった。
エリーを支えるのは、
修理係として彼女の管理を任された青年、
《アージェル》。
世界が少しずつ光を取り戻すほど、
彼だけが、
取り残されるように苦しみを深めていく。
「“愛する”って、どんな感情なのかな。」
解析不能な感情が、
エリーの中に静かに蓄積されていく。
それが“誰か”に向いていることだけは、
彼女自身にも否定できなかった。
感情はエラーか。
それとも、心か。
これは、
終わりの決まったAIと、
一人の人間が、
確かに心を通わせた――
記憶の物語。
☆オルヴェリィシリーズ☆
「光の記憶」はオルヴェリィシリーズ 第2章
Orbis(円環) + Reverie(夢想) = Orvelly
「Orvelly(オルヴェリィ)」とは——
二つの月が照らす、夢と記憶の円環世界。
時代を超え、世界を超え、
失われた愛も、忘れた記憶も、
すべてが巡り巡って、再び出会う場所。
始まりは終わりであり、
終わりは新たな始まりである。
それがOrvelly——
円を描いて巡る、永遠の夢想。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる