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第2章…出会い

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「か、か、か、かっぱく~ん!
忘れてるよ~!魔術を解いてないよ!
僕、まだ、かっぱのままだよ!」

かっぱのルディはルディのかっぱを追い掛けた。



「はぁ、はぁ、はぁ……
やっと追い付いた。
君、意外と足が早いんだね。」

「どうしたんだ、おまえ。
そんなにあわてて……」

「やだなぁ、かっぱくんったら。
魔術を解く前に行っちゃうんだもん。」

「……解かないよ。」

「………え?」

一段と低い声で発せられた、思いもよらぬ一言に、かっぱのルディは小首を傾げる。



「今日からおまえがかっぱのカパエルで、俺が人間のルディなんだ。
さっきおまえが言った通り、かっぱではこの世の中は生きにくい。
いくら魔術が使えたって、いくら言葉がしゃべれたって、所詮、かっぱはかっぱなんだ。
もう、俺、かっぱはやなんだ。
だから、この魔術を習得した。
人間になって楽しく生きていくためにな。
本当はもっと年相応の美青年になりたかったんだけどさ……」

「……僕って、そんなにフケてる?」

「間違いない!」

ルディはがっくりと肩を落とした。



「とにかく、そういうことだからさ。
じゃあな!」

「そ、そ、そんな、待ってよ!
ぼ、僕、かっぱなんてしたことないし、どうしたら良いのかわかんないよ。
お願いだから、魔術を解いてよ!」

「残念だがそれは無理だな。
どうしてもかっぱがいやなら自分で修行して、魔術を解く方法を探すんだな。」

「そ、そんなこと無理だって~~~!」

かっぱのルディはか細い声で弱音を吐いた。



「だめなもんはだめ!」

「そんな、ひどいよ~~!!あんまりだよ!!
……じゃ、せめて僕も一緒に連れていってよ。」

「やだよ。
かっぱなんて連れてたらおかしな奴だと思われるじゃないか。」

ルディのかっぱの非情な態度に、かっぱのルディもついに怒りを爆発させた。



「……あーーーーーっそ。
なら、いいよ。
僕、勝手についていくから。
自慢じゃないけど、僕は我慢強いっていうかかなりしつこい性格だから、君がどこへ行こうと諦めないから…!
執念深いから、死んでも化けてくっついてやるんだから…!」

ルディのかっぱは、かっぱのルディの真剣な眼差しにたじろいだ。



(……まずい。
これは本気と書いてマジの目だ…)

「か…勝手にしろ…!
だけど、言っとく。
『ルディ』は俺で、おまえは『カパエル』だ。
わかったな。」

「うん、わかった!」

 
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